本研究は、ツキノワグマが落葉広葉樹林と針葉樹人工林に創出する林冠ギャップの面積や空間分布の特徴を把握した。また、創出された林冠ギャップの下の光環境と植生構造の特徴を階層別に把握した。クマ棚由来の林冠ギャップの面積は、枯死や倒伏などの自然由来の林冠ギャップの約2倍、クマ剥ぎ由来の林冠ギャップの面積は、約1.3倍であった。クマ棚由来の林冠ギャップは、林冠層の光環境を改善し、木本種の種数や個体数を向上させた。クマ剥ぎ由来の林冠ギャップは、林床層の光環境を改善し、木本種の種数を向上させた。これらの結果をもとに、森林施業の一つの選択肢となる「野生動物の機能を活かした新しい森林管理の考え方」を提案した。
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