研究課題/領域番号 |
26450205
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研究機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
研究代表者 |
大野 泰之 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林業試験場, 主査 (30414246)
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研究分担者 |
渡邊 陽子 北海道大学, 農学研究院, 研究員 (30532452)
梅木 清 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (50376365)
吉田 俊也 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (60312401)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 気候応答 / 年輪幅指数 / 局所的競争効果 / 死亡 |
研究実績の概要 |
食葉性昆虫の大発生した広葉樹二次林におけるウダイカンバ(Bm)のその後の肥大成長、および死亡に及ぼす要因を明らかにするため、北海道の南富良野町に設置されている長期観察林分(樹齢約100年、50m×50m)において毎木調査を実施するとともに、胸高直径10cm以上の立木を対象に年輪解析を行った。食葉性昆虫の大発生は2011年の7月中旬に観察され、2011-2014年のBmの死亡率は17%であった。一方、この期間にミズナラ(Qm)の死亡は確認されなかった。BmとQmから採取したコアサンプルを用いて年輪幅の測定を行い、樹種ごとに年輪幅指数の時系列変動を算出した。肥大成長に対する気候応答を明らかにするため、食害を受ける以前(1978~2010年)の年輪幅指数と各生育年の月ごとの平均気温、降水量、日照時間との間で相関分析を行った。BmとQmの年輪幅指数はそれぞれ異なる月の気象と相関関係が認められた。Bmの年輪幅指数は6月と7月の日照時間と正の相関を示し、7月の降水量と負の相関が認められた。Qmでは3月の降水量と正の相関が認められた。食害後のBmの死亡パターンを食害前の成長履歴、局所的な競争効果との関係から解析した。食害前(1999-2003年)のBmの直径成長には、Bmの胸高直径(DBH)、サイズの大きなQmからの局所的な競争効果(Qm_oneCI)が影響しており、DBHが同じBmで比較した場合、競争効果を強く受けている個体ほど成長量が低下した。食害後のBmの死亡率は、食害前に低成長であった個体ほど高かった。また、直径成長の制限要因である個体のDBHとQm_oneCIも死亡率に影響しており、DBHが小さい個体、およびQmからの競争効果を強く受けている個体ほど死亡率が増加した。これらの結果は、長期的な個体間の競争効果が成長を制限させ、食害に対する感受性を増加させたことを示唆している。
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