研究課題/領域番号 |
26450209
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
大宮 泰徳 独立行政法人森林総合研究所, 生物工学研究領域, 主任研究員 (70360469)
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研究分担者 |
上村 松生 岩手大学, 農学部, 教授 (00213398)
赤田 辰治 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (10250630)
齋藤 秀之 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (70312395)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ブナ / 花芽形成 / 環境応答 |
研究実績の概要 |
移動できない植物は外的環境を敏感に読み取り、生殖活動への切替を素早く行うために、花成制御は環境変化と密接に関連し、温度、日長、乾燥などの外的環境変化に対して複数の遺伝子が連動して情報伝達を制御していることが予想される。そこで、花芽形成ホルモンとして中心的な役割を担うFT遺伝子及び高温などの外的環境変化に応答してFT遺伝子を誘導するPIF4遺伝子を中心に、環境応答および花成に関わる遺伝子の発現を変化させた場合の外的環境変化に対する影響をゲノミクス、プロテオミクス解析の手法を駆使して解析を試み、ブナの適応環境による花成転換のネットワークを明らかにする。 ブナFT遺伝子の機能解析 ブナFT 遺伝子プロモーターを様々な長さに削った構築物をレポーター遺伝子GUSもしくはGFPに連結した構築物を作成した。 ブナFT 遺伝子のプロモーター領域とブナFT構造遺伝子を含むオリジナルのゲノム領域(単離済み)、プロモーターやイントロン領域を削ったものなどを構築し、ポプラへの形質転換の準備を進めた。 ブナPIF4遺伝子ホモログの解析 北海道大学のブナゲノムの塩基配列データよりシロイヌナズナPIF4のホモログ遺伝子と相同性が高いブナ配列を3種類単離し、それぞれ、FcPIF1、FcPIF3、FcSPTと命名した。シロイヌナズナPIF4遺伝子に相同な配列は見つからなかったが、系統樹解析によりブナFcPIF3がブナ遺伝子がシロイヌナズナPIF4に最も相同性が高かった。そこで、FcPIF3を35Sプロモーターに連結したキメラ遺伝子の構築を進めている。ブナPIF4およびブナFcMYB1603のポプラホモログ遺伝子については引き続き探索を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
4月に突然の異動があり実験室ごと引越しとなったたため、苗畑の材料や凍結試料の移動に時間がかかり、生育中のブナ植物体材料が新しい環境に馴染み実験に利用可能になるまでに半年ほどの時間を要したため、すぐに実験が始められなかった。しかし、今回の異動により以前より基礎研究が進めやすい環境になったので、遅れた分は今年度中にある程度取り返せる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
環境応答および花成に関してキーとなる2遺伝子を捉えることができたので、今年度は当初の計画に追いつけるよう、粛々と組換え体の作出を進めていくだけである。
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次年度使用額が生じた理由 |
培養植物は一般的に蛍光灯の種類や温度などの微妙な環境の変化により生育に影響が出るため、ポプラの場合は、植物体がアグロバクテリウムによる遺伝子組換えに耐えうる状態に回復するまでに最低半年ほどかかることは過去の異動で何度も経験しており、今回突然の異動のため組換え体の作出が予定通りに進められなかった。そのため、岩手大学で予定していた、組換えポプラを用いたプロテオミクス実験の予定を次年度に延期せざるを得なかった。また、弘前大学と共同で進めていたFT遺伝子の機能解析のための組換え体の作出も当初の予定より遅れることとなったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
岩手大学で組換えポプラを用いたプロテオミクス実験を年度内に開始することと、弘前大学と共同で進めていたFT遺伝子の機能解析を年度内に終了する予定で使用を計画している。
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