研究課題/領域番号 |
26450210
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研究機関 | 国立研究開発法人 森林総合研究所 |
研究代表者 |
今矢 明宏 国立研究開発法人 森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究員 (60353596)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 土壌型 / 土壌化学特性 / 森林土壌 |
研究実績の概要 |
本課題では、全国の森林から収集された多点試料を分析することで、土壌の化学性のインベントリを構築し、地球統計学的手法により空間的に拡張し化学特性値の基盤図を整備することで森林土壌機能評価マップを作成し機能発現条件を解明することを目的としている。当年度は、土壌型による土壌化学特性値の違いについて検討した。全国約830地点から得られた土壌断面試料の土壌タイプ(林野土壌の分類による)は、80%が褐色森林土群、12%が黒色土群であり、褐色森林土群、黒色土群とも典型亜群が約90%を占める。褐色森林土亜群は、適潤性50%、適潤性(偏乾亜型)30%、乾性(粒状構造型)10%、弱乾性5%、弱湿性3%、乾性(細粒状構造型)1%であった。黒色土亜群は、適潤性76%、適潤性(偏乾亜型)17%、弱湿性2%、乾性(粒状構造型)と湿性が各1%であった。褐色森林土亜群では、pHや交換性塩基、酸性シュウ酸塩可溶成分は斜面系列に沿って乾性から湿性へと高くなる傾向を示した。黒色土亜群では、褐色森林土とは反対に、酸性シュウ酸塩可溶成分が湿性側で低くなっており、このことから斜面下方では斜面上部からの土砂の移送および攪乱による基盤母材の混和により母材における火山灰の割合が低くなり、火山灰土壌としての性質が薄まっていることが示唆された。全国データによる土壌の化学性は土壌型に偏りが大きく多様な要因を含むものの、斜面系列に沿った傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に予定していた基盤図作成のための交換性塩基類および塩基交換容量の分析を完了した。土壌pHおよび交換性アルミニウム含有率についてインベントリ情報を整備し、基盤図の作成を完了し、クリギング法を用いた空間拡張とその問題点について明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
異常値について再分析による確認を行う。分析により得られた化学特性値についてインベントリ情報として整備し、基盤図を作成し、土壌機能発現条件を解明するために土壌機能評価マップを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
設備工事に伴う実験室の使用不能期間の発生ならびに主要な分析機器である元素分析装置の故障、修理による使用不能期間の発生により、分析期間が短縮されたため分析補助にかかる経費が縮小された。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度までに得られた分析値を精査し再分析を行い、土壌化学性インベントリを完成させる。全ての分析項目に対応する基盤図を作成し、これらを組み合わせた土壌機能評価マップを作成する。この基盤図の作成および土壌機能評価マップの作成手法の検討のための情報収集を行うための学会参加の経費を支出する。
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