野外実験により林床の濁水ろ過機能を定量化し、人為的に濁水ろ過機能を向上させることが可能か検討した。濁水ろ過実験の結果、ナラ林、スギ林ともに初期のろ過機能は高く懸濁物質の約9割をろ過できたが、土壌表層の目詰まりによって徐々に機能低下した。落葉堆積量を倍増しても機能向上は認められなかった。ただし、越冬後は若干の回復が認められ、冬季の落葉細片化が関係していると推察された。懸濁物のろ過速度は浸透能と正の相関があり、林種によらず同じ式で近似できた。 人工物による落葉堆積実験では、調査地の落葉移動が不活発で明瞭な結果が得られなかったが、落葉堆積量や浸透能にはナラ林とスギ林で差が認められた。
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