ナラ枯れ被害の跡地では、先駆樹種(森林の回復過程でまずはじめに定着する樹種)の定着確率が増加した。シカの影響については、剥皮は限定的であるが、採食は、調査した森林の下層植生および森林の再生に大きく影響していると考えられた。先駆樹種であり、シカの不嗜好性樹種であるナンキンハゼおよびクロバイはナラ枯れ跡地においてよく成長しており、ナラ枯れとシカ採食が複合したことはこうした樹種に有利に働いている。シカ採食の影響下にあるナラ枯れ跡地においても、森林の再生は進行しているとみられるが、その過程は通常とは異なったものになっていると考えられる。
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