茨城県かすみがうら市のスギ人工林において、降雨遮断による土壌乾燥処理試験をおこない、土壌呼吸のQ10値を観測した。野外観測による土壌呼吸のQ10値は乾燥処理によって有意に低下した。一方、室内実験による根、リター、鉱質土壌からのCO2放出速度のQ10値は乾燥処理によって有意な違いは認められなかった。乾燥処理区のリターからのCO2放出速度は非常に小さく、また、リターからのCO2放出速度のQ10値は根よりも大きかったことから、乾燥に伴って土壌呼吸に対するリターからのCO2放出速度の寄与率が低下し、Q10値が相対的に低い根呼吸の寄与率が増加したため、土壌呼吸のQ10値が低下したと考えられた。
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