北海道、千葉県、山梨県、愛知県、京都府で5kmメッシュ単位のシカ密度を、階層モデルによって推定した。シカ密度が高いほど森林を構成する木の皮が剥がれる(剥皮)確率が高く、また下層植生は衰退していた。しかし、剥皮確率は木が細く雪が多い場所でも高く、また樹種によって大きく異なっていた。下層植生の被度は最大積雪深が浅く、傾斜が急であるほど低くなっていた。これらのことから、木の剥皮や下層植生の被度はシカによる影響度として適切な指標である一方、これらの影響度をシカ管理の目標とするためには、積雪深や傾斜など他の要因も考慮する必要があることが明らかになった。
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