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2014 年度 実施状況報告書

カラマツの天然更新を活用した革新的施業技術の確立

研究課題

研究課題/領域番号 26450222
研究機関長野県林業総合センター

研究代表者

大矢 信次郎  長野県林業総合センター, 育林部, 主任研究員 (50584885)

研究分担者 今井 信  長野県林業総合センター, 木材部, 主任研究員 (50609146)
清水 香代  長野県林業総合センター, 育林部, 研究員 (00631714)
植木 達人  信州大学, 農学部, 教授 (90221100)
城田 徹央  信州大学, 農学部, 助教 (10374711)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2019-03-31
キーワードカラマツ / 天然更新 / 機械作業 / 低コスト / 立地 / 材質
研究実績の概要

(1) カラマツ人工林における更新伐施業によるカラマツ天然更新の誘導とコスト評価
南牧県有林においてカラマツ雌花の着花が確認されたため,帯状伐採を実施した。伐採帯幅は,10m,20m,40mとし,伐採帯長は林道から50m~70mとした。伐出作業は,伐倒(チェーンソー),木寄せ(グラップル,トラクタ),造材(プロセッサ)の各功程をビデオ撮影し時間解析により生産性を算出した。その結果,伐出作業にかかるシステム労働生産性は14.3m3/人日,伐出コストは2,640円/m3であった。また,カラマツの天然更新を誘導するために,バックホウのバケットにより林床のササの根を土壌ごと剥ぎ取り,B層が露出する程度まで地表処理を行った。その結果,生産性は平均275m2/時,コストは平均235千円/haと試算され,岩石が多い箇所で時間を要していた。比較対照のため行った裸苗及びコンテナ苗の植栽作業の生産性は,裸苗が52.9本/時であったのに対して,コンテナ苗は37%高効率の72.3本/時であった。しかし,苗木代は裸苗が82円/本であるのに対してコンテナ苗はその約2.4倍の194円/本であることから,活着率及び成長量に格段の差が認められない限り,低コスト化にはつながらないと考えられた。なお,植栽にかかるコストは,2400本/haの植栽密度の場合,裸苗が311千円/ha,コンテナ苗が550千円/haと試算された。これらの結果から,現時点における更新コストは,天然更新<裸苗植栽<コンテナ苗植栽と判断された。
(2) カラマツ天然更新成功地における立地条件解明
佐久市,南牧村,川上村の3箇所の天然更新成功地を踏査し,今後の調査計画を検討した。
(3) カラマツ天然更新材の特性調査
1986年に天然更新及び人工植栽したカラマツ林の材質比較試験に供するため,2015年に行う伐採及びサンプリング法を現地で検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1) カラマツ人工林における更新伐施業によるカラマツ天然更新の誘導とコスト評価
カラマツは豊凶周期が5~7年と長い樹種であるが,26年に南牧県有林においてカラマツ球果の着果が確認されたことから,帯状伐採と地表処理作業,植栽作業を実施することができた。また,それらの作業の功程調査及びコスト評価についても行うことができた。
(2) カラマツ天然更新成功地における立地条件解明
信州大学と共同で行う立地条件解明の研究手法を確認し,27年以降の研究の推進方向を明確化することができた。
(3) カラマツ天然更新材の特性調査
浅間山国有林における天然更新材と人工植栽材の材質比較に向けて,東信森林管理署と調整を重ね,27年に伐採・サンプリングを行う計画を立てることができた。

今後の研究の推進方策

(1)カラマツ人工林における更新伐施業によるカラマツ天然更新の誘導とコスト評価
地表処理を行ったエリアにおいては,ライントランセクト法により,実生の発生状況とその消長を定期的に調査する。植栽を行ったエリアにおいては,雑草木との競合状況を把握し,下刈り等にかかるコストを比較する。また,26年に行った北相木村有林におけるカラマツ林の小面積皆伐地の伐出功程及び地表処理功程のビデオ解析結果をとりまとめるとともに,実生の消長を調査する。
(2)カラマツ天然更新成功地における立地条件解明
カラマツの天然更新成功地の林分構造調査,天然更新地の探索・分布状況把握と立地条件と施業内容の整理を行う。立地条件については,土壌型,地質,土壌水分,気温,降水量,標高,斜面方位,傾斜,競合植生,発生年などの調査を行い,GISにより分類・可視化するとともに,地表処理の実施可能性も含めたカラマツ天然更新施業可能地の抽出を行う。
(3) カラマツ天然更新材の特性調査
天然更新材及び人工植栽材の間伐木のうち,各40本について元玉3mを実大材強度試験用に採材する。また,根元及び造材箇所(元玉3m以降は2m間隔)において3㎝厚の円盤を2枚ずつ採取し,小試験体による強度試験及び年輪解析に供する。実大材強度試験においては,3m材から正角材を製材し,1年間天然乾燥を行い,ねじれ及び曲りを天然更新材と人工植栽材で比較する(強度試験は2016年度に実施)。また,強度試験に先立ち,天然更新材と人工植栽材の年輪解析を進め,両者の未成熟材割合,年輪幅の比較を行う。

次年度使用額が生じた理由

カラマツ天然更新材の特性調査を進めるにあたり,26年に伐採・搬出し材の運搬及び製材を行う可能性があったため人件費を計上していたが,伐採は中部森林管理局の事情により27年度に行わざるを得ず,人件費等の使用を延期した。また,カラマツ天然更新成功地における立地条件解明においては,当初予定していた人件費が今年度は不要であった。

次年度使用額の使用計画

26年度に生じた残額については,26年度に実施する予定であった研究を27年度に実施する中で計画的に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 伐採・造林一貫作業による再造林コスト低減の検討2015

    • 著者名/発表者名
      大矢信次郎,斎藤仁志,大塚大,城田徹央
    • 学会等名
      第126回日本森林学会大会
    • 発表場所
      北海道大学農学部
    • 年月日
      2015-03-27 – 2015-03-29

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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