研究課題/領域番号 |
26450229
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
簗瀬 佳之 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00303868)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 摂食活動解析 / 木材および竹材加害昆虫 / 木造建築物 / マイクロフォーカスX線CT / 木材保存 / アメリカカンザイシロアリ / チビタケナガシンクイ / アコースティック・ エミッション(AE) |
研究実績の概要 |
木材・竹材中で活動する昆虫の摂食行動を継続的にモニタリングし、可視化する手法の開発を目的とし、木造建築物で対象とするシバンムシ類、キクイムシ類、ナガシンクイムシ類等の被害調査を行い、目視調査によって加害様式の特徴を把握した。 特に、人工飼育が可能な状況にあるチビタケナガシンクイについては、マイクロフォーカスX線CTを用いて、継続的に木材・竹材中の昆虫の進行距離と摂食によってできた空隙の体積を測定し、各昆虫の摂食速度と摂食量を定量すると同時に、摂食活動による空洞の3次元的なネットワーク構造をCT画像から得ることによって、摂食行動生態の特徴を抽出した。またアコースティック・エミッション(AE)法と顕微鏡観察を同時に行い、竹材中で摂食活動に伴ってAE発生が発生することを解明した。さらに長期間、リアルタイムにAE計測を行うことによって、チビタケナガシンクイの竹材内部での摂食活動を連続的にモニタリングすることが可能となった。 アメリカカンザイシロアリについては、大型X線CT装置を用いて、木材内部の被害による空洞の3次元的なネットワーク構造の解析を行い、木材への侵入時(初期段階)から、コロニーの個体数が増加するとともに、その構造が複雑になっていくことを解明した。 ヒラタキクイムシとアフリカヒラタキクイムシについては、人工飼育した供試虫を用いて、チビタケナガシンクイで行った手法で摂食行動の解析を行っている。シバンムシについては、現在のところ人工飼育に成功しておらず、被害調査の際に持ち帰った被害材から成虫の接種を試みている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の対象となる木材および竹材穿孔昆虫のうち、シバンムシ以外は人工飼育または被害材からの接種が可能となった。ただしシバンムシについては成虫及び幼虫の接種に至っておらず、人工飼育も成功してないため、次年度への繰り越し課題となった。
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今後の研究の推進方策 |
人工飼育が可能で供試虫として利用できるチビタケナガシンクイ,ヒラタキクイムシ,アフリカヒラタキクイムシ,アメリカカンザイシロアリについては,計測を継続し、より多くのデータの蓄積を行う。 シバンムシについては成虫及び幼虫の確保を目的とした被害材の収集を継続し、個体の採取ができた場合、人工飼育を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度に、シバンムシの確保と人工飼育に使用する予定であったが、それが成功しなかったため、物品費、旅費および人件費・謝金に未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
このため、シバンムシの確保と人工飼育を次年度に再度試みることとし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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