研究課題
1.化学合成:カフェ酸エチルを無水THF中でDIBAL-Hにより還元し、カフェイルアルコールを得た。これをアセトンートルエン中で脱水素重合させ、(±)-イソアメリカノール Aを選択的に高収率で得られた。2.粗酵素実験:カフェイルアルコールを西洋ワサビペルオキシダーゼにより脱水素重合させたところ、カテコール型リグナン・ネオリグナン類の生成を確認した。この生成物から(±)-bisdemethylpinoresinol、(±)-3,3'-イソアメリカノール Aが得られた。3.油脂安定性試験:合成したイソアメリカノール Aを酸化防止剤として用いた油脂安定性試験を行った結果、イソアメリカノール Aはα-トコフェロールよりも高い抗酸化性を有することが示された。このことからジャトロファ搾油カスに含まれるイソアメリカノール Aは、バイオディーゼル燃料を生産する際の抗酸化防止剤としての利用が期待され、バイオマス資源としての利用価値が見出された。4.生理活性試験:イソアメリカノール Aの抗ガン活性について調べた結果、4種類のヒトガン細胞(MCF-7, MDA-MB231, HuH-7, Hela細胞)の細胞増殖を濃度依存的に制御した。MUF-7細胞を用いた遺伝子解析により、イソアメリカノール AはG2/M期で細胞周期を停止させ、BTG2, p21, GADD45A遺伝子の発現が増加していたが、CDK1, cyclins B1とB2の遺伝子の発現が減少していた。このことから、イソアメリカノール Aは抗ガン剤としての利用が期待される。
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Journal of Wood Science
巻: 62 ページ: 339-348
10.1007/s10086-016-1563-6