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2014 年度 実施状況報告書

高性能担持体を用いるオンサイト処理による新規な海岸原油汚染土壌浄化法の研究開発

研究課題

研究課題/領域番号 26450232
研究機関愛媛大学

研究代表者

橘 燦郎  愛媛大学, 農学部, 教授 (10112319)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード原油汚染浄化 / 浄化技術 / 石油分解菌 / 多環芳香族炭化水素 / 分解酵素 / 担体 / C重油
研究実績の概要

石油分解菌及び石油分解菌を担持した担持体を用いて、以下の結果を得た。(1)天然から選抜した石油分解菌によるPAHsの液体分解:海水条件下で石油分解菌(SM46)により多環芳香族炭化水素(PAHs),ベンゾ[a]ピレン(BP)(濃度20ppm)が分解できることを見出した(約30,40%分解(15,30日処理)。また、BPの分解経路も解明した。さらに、石油分解菌(NG007)による種々の塩濃度及びpH条件下で4種のPAHs混合物(アセナフテン,アントラセン,クリセン,BP)(各濃度12.5ppm)の分解を行い,全ての条件下でPAHsを分解(約80~10%)出来ることを見出した。しかし、塩濃度及びpHが高くなるほど分解率の低下が見られた。(2)石油分解菌の組合せ(2種)及びその割合を明らかにした。(3)石油分解菌を担体させた担持体(浄化材)によるPAHs汚染土壌の浄化:複数の担体に石油分解菌(SM46)を担持後、BP(50ppm)汚染海岸土壌の浄化を行った。その結果、BPを分解[各々約40,60%(15,30日処理)]出来ることを見出した。また、浄化効率を高め得る一種の天然系担体を見出した。 (4)原油(C重油、1,000ppm)汚染海岸土壌の浄化の試み:担持体[石油分解菌(2種)]により、原油(C重油、1,000ppm)汚染海岸土壌が浄化[各々70%,86%(15,30日処理)]できることを見出した。また、浄化時に一種の栄養源を添加すると、浄化率が約20%増加(未添加に比べ)することも見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究計画を実施し新規な成果を幾つか得た。しかし、分解菌の担持体の検討、海岸土壌中での分解菌の成育をさらに促進させることが浄化率向上に関係していると考えられるので、これについてさらに検討が必要と考えている。しかしながら、選抜した石油分解菌は塩濃度の高い場合でも、PAHsを分解出来ることも見出したので、高濃度の原油(C重油)汚染海岸土壌の浄化も可能と考えられた。原油(C重油)汚染土壌の浄化率を向上できる最適の石油分解菌の組合せを見出したので、これらの菌を担持した担持体(浄化材)による原油(C重油)汚染海岸土壌の浄化についてさらに検討する必要があると考えている。また、この担持体による高濃度の原油(C重油)汚染海岸土壌の浄化も今後の検討課題と考えている。

今後の研究の推進方策

本研究課題の今後の推進方策として、下記のことを実施する予定である。(1) 最適な石油分解菌の組合せにより原油(C重油)汚染海岸土壌が浄化出来たので、石油分解菌を担持させた担持体(浄化材)による原油(C重油)汚染海岸土壌の浄化についてさらに検討する。原油汚染海岸土壌の浄化を行い、浄化条件を精査しながら浄化法の検討を行う予定である。(2) 浄化時の酵素活性の変化を調べるとともに、浄化時の原油(C重油)汚染海岸土壌中の原油(C重油)成分(脂肪族炭化水素部、芳香族部、NSO部、アスファルテン部)の動態を調べる。(3) 分解菌の生育条件などを検討することにより、浄化材の性能を高める方法を検討する。(4) 栄養源等の添加が浄化に及ぼす影響解明:栄養源や酵素賦活剤等の添加濃度や種類を変えこれが浄化に及ぼす影響を明らかにして、さらなる浄化率の向上を試みる。昨年度は研究計画をほぼ遂行出来たので特に取り上げて検討する事項はないが、浄化率の高い担持体の検討を行う予定である。また、原油(C重油)の組成に類似するアスファルト等による汚染海岸土壌の浄化やこれらの高濃度原油(C重油)汚染海岸土壌の浄化についても検討も行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究は当初計画通りほぼ進展した。しかし、その過程の一時期に当初計画通り進まない時期があり、研究の進展が遅れた時期があったため。

次年度使用額の使用計画

本年度の残額を次年度の研究経費と併せて使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Biodegradation of polycyclic aromatic hydrocarbons mixture by Pestalotiopsis sp.2014

    • 著者名/発表者名
      Dede Heri Yuli Yanto
    • 雑誌名

      第59回リグニン討論会講演集

      巻: なし ページ: 90-93

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Benzo[a]pyrene biodegradation by a newly isolated white rot fungus from nature in soil2014

    • 著者名/発表者名
      Ade Andriani
    • 雑誌名

      第59回リグニン討論会講演集

      巻: なし ページ: 138-141

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] Optimized culture ststem for Benzo[a]pyrene degradation by Bjerkandera adusta2015

    • 著者名/発表者名
      Ade Andriani
    • 学会等名
      第65日本木材学会大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京)
    • 年月日
      2015-03-18

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公開日: 2016-05-27   更新日: 2017-06-12  

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