研究実績の概要 |
乾燥廃液の効率的な分離・精製法としては減圧蒸留、カラム分離の各条件を見出した。また、二酸化窒素除去活性が高い画分はセスキテルペン炭化水素類及びジテルペン炭化水素類であり、除去活性はいずれも80%を超えていた。廃液全体に占める各炭化水素類の割合はセスキテルペン類(19%)、ジテルペン類(12%)であり、合計しても30%程度にすぎなかった。見出された物質はジテルペン類ではabietadiene, abietatriene, pimaradiene, sclarene, sandaracopimaradiene等であり、セスキテルペン類ではcadina-1(10),4-diene, α-cubebene, α-amorphene, cis-muurola-4(15),5-diene等であり、これらの化学的な特徴としてはいずれも分子内に二重結合を2つ以上有することであった。環境汚染物質は酸化を促進するため、浄化剤においては酸化を抑制させる効果が必要である。そこで乾燥廃液の酸化抑制効果を調べるためにガルビノキシラジカル捕捉能を調べた。その結果、廃液には高いラジカル捕捉能が認められ、さらに活性物質を検索したところ、活性の高い画分はジテルペンアルコール類及びセスキテルペンアルコール類であり、特にジテルペンアルコール類の活性が高いことが判明した。また廃液全体に占める各アルコール類の割合はセスキテルペン類(10%)、ジテルペン類(55%)であり、ジテルペン類の割合が多いことがわかった。さらにラジカル捕捉活性画分より見出された主要な物質はセスキテルペン類ではcubenol. Cryptomerione, gleenol等、ジテルペン類ではferruginolの他, sandaracopimarinol等であった。これらのことから二酸化窒素除去活性を活かした除去剤において、共存する酸化抑制物質の効果により、除去剤の耐久性の向上化が図られる可能性が見出された。これらの成果は、未利用バイオマス資源である乾燥廃液を空気浄化資材として利用可能であることを示していた。
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