本研究では,沿岸性珪藻の休眠期細胞が受光後にどのような細胞内の生化学反応を経て発芽誘導されるかを解析した。その結果,①休眠胞子の光合成活性は受光直後に上昇すること,②休眠胞子は受光前から主たる光合成関連タンパク質を有していて受光後も量的に変化しないこと,③ATPaseは受光直後に増加すること,④プロテオーム解析により,受光直後にクエン酸回路や糖代謝関連の酵素,その後シグナル伝達や栄養代謝関連の酵素が新たに発現することが明らかとなった。以上の結果より,休眠胞子は受光後,エネルギーを消費しながら栄養代謝等を活性化させて光合成を行い,伸長して脱殻するというシナリオが推察された。
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