研究課題/領域番号 |
26450254
|
研究機関 | 独立行政法人水産大学校 |
研究代表者 |
滝川 哲太郎 独立行政法人水産大学校, 海洋生産管理学科, 准教授 (10371741)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 水圏環境 / 漁場環境 / 物理-生物過程 / 動植物プランクトン / 対馬暖流 / 海洋レーダ |
研究実績の概要 |
2014年5月から,遠距離海洋レーダによる日本海南西海域の表層流観測が始まった.本研究では,レーダ観測海域で,船舶による動植物プランクトンと卵仔稚魚のサンプリング調査を行い,表層流動場に対し生物がどのように分布するか把握することを目的としている.2014年度の船舶調査は,6月,8月,9~10月の3回,水産大学校練習船「天鷹丸」を用いて行った.4月と5月にも本調査を行う予定であったが,レーダ観測の開始時期の遅れと調査準備の関係で,船舶調査を実行しなかった. 船舶調査時,CTDと採水による水温・塩分・クロロフィルの観測も行った.海洋レーダによる表層流は,地衡流を考えると,船舶観測で得られた水温分布と対応していた. 生物サンプリングには,ノルパックネットを用いた.採取したサンプルを用い,動物プランクトンのサイズ別(0.1-0.2 mm, 0.2-0.5 mm, >0.5 mm)の乾燥重量と種組成を調べた.ここで,カタクチイワシの卵仔稚魚もカウントした.6月と8月の観測結果によると,カタクチイワシの卵仔稚魚と動物プランクトンは,対馬暖流の流軸付近に多く分布し,クロロフィルは流れの縁に分布する傾向を示した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度に実行した船舶観測は3回であり,年間5回を予定していたことを考えると,計画はやや遅れている.しかし,得られた生物サンプルの分析は順調に進んでおり,流動場とプランクトン分布の関係を見い出しつつある.
|
今後の研究の推進方策 |
2015年度同様,船舶による海洋観測とネットサンプリング調査を実施する.調査を継続することによって,平均的な流動場と生物分布の関係を見い出す.2016年度は,水産大学校練習船「天鷹丸」と山口県調査船「くろしお」の2隻を用いる. 解析では,海洋レーダの表層流データを用い,卵仔稚魚を粒子とみなし,トレーサー実験を行う.この実験によって,採取された卵仔稚魚が,過去にさかのぼり,どのような経路を通ってきたのか,今後,どのように流され分布するか調べる.
|
次年度使用額が生じた理由 |
残金が少額のため,次年度に使用することにした.
|
次年度使用額の使用計画 |
生物組成の外注に多くの費用がかかるため,次年度使用額と翌年度分の助成金を合わせて使用する.
|