研究課題
日本海南西海域では,2014年5月から2017年2月の間,対馬市舌崎と萩市相島に遠距離海洋レーダを設置し,対馬東方に広がる大陸棚域から陸棚斜面までの表層海流の観測を行っていた.本研究では,2014,2015年度に引き続き,このレーダ観測海域において,船舶による動植物プランクトンと卵・仔魚のサンプリング調査,CTDや採水等による海洋観測を行った.2016年度には,水産大学校練習船「耕洋丸」(4月)と「天鷹丸」(5,6,9月)を用い,4回の調査を実施した.2014~2016年度の3年間で,レーダの表層流観測海域において,合計11回のプランクトン分布を得ることができた.プランクトン分布と比較する流動場には,海洋レーダの表層流だけでなく,数値海況モデル結果(DREAMS,九州大学応用力学研究所)も用いた.カタクチイワシの卵・仔魚は,基本的に沖合に多く分布する傾向を示したが,その分布は,流動場と比較すると,大きく2つのパターンに分類できた.一つは「沖合と沿岸に分離,または沖合に分布する場合」であり,もう一つは「沿岸に多く分布する場合」であった.前者の場合,対馬暖流の沖合分枝流と沿岸分枝流が明瞭に分かれていた.後者の場合,沖合分枝流が沿岸分枝流に合流していた.この合流は,日本海からの底層冷水の陸棚域への進入や対馬東方の反時計回り渦による表層流の変化によって引き起こされていた.この結果,沖合から沿岸域に,卵・仔魚が輸送されていると示唆された.
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海洋水産エンジニアリング
巻: 128 ページ: 68-74
http://www2.fish.nagasaki-u.ac.jp/FISH/KYOUKAN/pol/index.html#1