ネズミイルカは沿岸に生息する鯨類で,人間活動の影響を強く受ける。欧米では多くの研究がなされているが,日本での研究は皆無に近い。近年,鯨類の漂着・混獲情報収集体制整備や音響観測技術の普及によって,ネズミイルカに関する新たな研究の展開が可能となった。本研究では,ネズミイルカの漂着・混獲から得られる標本を用いて,ネズミイルカの食性を解析し,漁業資源への捕食実態を明らかにした。また,音響観測技術を利用して,漁網近傍におけるネズミイルカの行動を記録し,混獲メカニズムの一端を解明した。これにより、ネズミイルカの漁業との競合実態の一端が明らかになり,鯨類と人類との共存の一助となる知見を得た。
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