研究課題/領域番号 |
26450256
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
東 典子 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 特任助教 (20374704)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 水産養殖の遺伝的管理 / アムールチョウザメ / マイクロサテライトマーカー / 倍数性 |
研究実績の概要 |
アムールチョウザメの新規マイクロサテライト(STR)マーカーの探索と効果的な解析方法立ち上げに向け、平成26年度には以下の通り研究を進めた。 北海道大学大学院水産科学研究院・北方生物圏フィールド科学センター七飯淡水実験所等で飼育されている、雌親魚1個体とその子30個体の組織標本からゲノムDNAを抽出し、濃度・精製度を確認した。親魚については保管されていた組織から、仔魚については、飼育途中で死亡した2個体(2-3か月齢)のほか、生殖腺等の単離のため北海道大学水産科学研究院で解剖した3-6か月齢、21月齢の個体から筋肉または鰭を単離、99%エタノールで固定した組織を用いた。 次世代シーケンス法によるゲノムからのマーカー探索については、水産科学研究院で保有している卓上型次世代シーケンサー(Ion PGM)で2回のゲノム解析を試みるも、十分なデータを得ることができなかったため、北海道システムサイエンス社にゲノム解析を依頼、そのデータから、STRを含む3-400塩基長の領域を数万配列得ることができた。その中から、適切な繰り返し数(50回以下)、同じ塩基が8個以上続く配列を含まない、フランキング領域の塩基の割合が偏りなく有効なPCRプライマーを設計できる、などの条件から配列を選択し、最終的に300組のPCRプライマーを設計した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次世代シーケンス法によるゲノム解析において、当初予定していた現有設備でのデータ取得は不調に終わったが、外部委託によるデータ取得に切り替えた結果、当初予定していたとおりに多数のPCRプライマーを設計できた。
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今後の研究の推進方策 |
27年度以降は、マーカーの絞り込み、実際の遺伝子型判定、データ解析方法の開発などを行う。 まず、PCRチェックで増幅の安定性や多型性から、50~100座程度のSTRマーカーを選定する。その際、1座あたり4個以下の対立遺伝子を持ち、かつ、多型であるものを選抜する。次に2家系(親+子20個体程度)のゲノムを用いて、選抜したマーカーによる遺伝子型の判定を行う。使用したマーカーから、優性マーカーとして親子関係に矛盾がなく遺伝子型判定が容易な多型マーカーを30座選ぶ。 遺伝子型データはバーコード化して解析する。STRを優性マーカーとみなし、30座で得られたデータを個体ごとにバーコード化(対立遺伝子の有無を1,0で記載し数列化)し、個体の識別に用いる。同じ個体を用いて、AFLP解析を行い、STR解析とAFLP解析の正確性や再現性、また将来的にはより大規模な解析を行うことを考慮し、操作の簡便性や費用についても比較検討する。さらに、最終選抜したSTRまたはAFLPマーカーを用いて、複数家系のサンプルの解析を行い、実用性を検討する。 なお、選抜の過程で著しくマーカー数が減ってしまった場合は、既報のマーカー(Liu et al. 2013)や他種で報告されている既存のマーカーも候補に入れることとする。 また、AFLP解析の作業過程において、STRと比較してクリアな遺伝子型判定ができない場合は、将来的に多数サンプルを簡便に扱うことが難しいと判定し、STRのみに集中して解析・評価を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
PCR/ジェネティックアナライザー関連の一部消耗品の納品が3月になったため、当該費用53,911円は次年度に支払うこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については既に発注・納品されており、翌年度分1,000,000円については、当初の予定通り、STRマーカー用プライマー、遺伝子型特定のための試薬類、AFLP解析のための消耗品等の購入、学会参加・標本採集のための旅費、論文発表のための英文校閲費や雑誌投稿費に使用する。
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