本研究は、資源概念の再検討によって水産資源の持続的利用・総合的利用について問い直し、新しい資源管理型漁業の展開方向とその課題について明らかにすることを目的としている。水産資源は、資源となる生物、その生物の価値、そしてその価値を実現する生産システムが存在することで機能することとなる。水産資源の管理手法である投入量規制・技術的規制・産出量規制は生物の量的持続性を確保するものであるが、今後漁業経営体数の減少と水産物消費の減退によってそれだけでは水産資源の持続的利用を実現することは困難である。資源管理型漁業は、生物量の維持に加えて価値と生産システムの持続性を確保することが課題となることを明らかにした。
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