研究課題/領域番号 |
26450262
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
大島 俊一郎 高知大学, 教育研究部総合科学系黒潮圏科学部門, 教授 (80325406)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 魚病細菌 / 高分子抗菌構造体 / 抗菌活性 |
研究実績の概要 |
本研究では、初年度は産業的に大きな被害を出している魚病細菌のエドワジェラ症原因菌 (Edwardsiella tarda、E. piscicida)、ブリ類結節症原因菌、細菌性腎臓病原因菌、冷水病原因菌、ならびに滑走細菌症原因菌を対象に、ナノ粒子の最小発育阻止濃度(MIC)を微量液体希釈法によって測定し、各供試魚病細菌に対する陽性対照として既知の抗生物質を用い抗菌活性を比較した結果、DAlaナノ粒子溶液はグラム陽性細菌に強い抗菌性を示すことを明らかにした。また、グラム陰性細菌については、高濃度の区で全てのナノ粒子溶液で抗菌性が認められた。 本年度は、これまで供試してきたナノ粒子では、一部の細菌に対して抗菌活性が認められなかったことから、さらに粒径の小さいナノ粒子を調製してその抗菌活性について調べた。具体的には。これまでのものは粒径が200nm程度であったのに対し、今回新しく調製したナノ粒子の粒径は、30nmと比較的小さくなっている。 これらのナノ粒子を用いて抗菌試験を実施した結果、類結節症原因菌、滑走細菌、冷水病菌に対して10分の1の濃度で昨年度とほぼ同様の抗菌効果が得られる可能性が示唆された。また、抗酸菌に対する効果についても調べた結果、高い抗菌活性が確認された。しかしながら、初年度に得られた結果と同様にエドワジェラ症原因菌に対しては、高濃度の処理においても抗菌活性は認められなかった。 また、実験動物であるブリを用いた試験では、本ナノ粒子溶液を一定濃度添加した飼育水における毒性試験を実施した。具体的には、循環型水槽を用いて全量100Lの海水に0.1%CNP溶液を100μL、900μL(計1mL)、9mL(計10mL)、40mL(計50mL)、50mL(計100mL)の順に1日おきに添加して飼育した。その結果、全ての区で死亡魚は認められておらず、今回の試験で実施した濃度では、ブリに対して毒性がないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、動物実験を実施する予定になっていたが、供試魚を維持飼育管理を行っている中で、大規模な寄生虫症が発生し、また、なかなかおさまらず予定の実験を実施することが難しくなった。 一部、生き残っと供試魚もいたが、健康な個体を必要尾数確保することができなかったので、次年度に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
1年目、2年目の試験結果から、最終年度はナノ粒子による抗菌性が認められた魚病細菌について、魚を用いた動物実験を実施し、その治療ならびに予防効果について調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物に感染症が発生したため、予定どおりの実験が実施されなかった為、次年度使用とした。
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次年度使用額の使用計画 |
今回繰り越した研究費を含めて実験魚を購入し、最終的に当初予定していた実験を全て実施できるようにしたい。
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