研究課題/領域番号 |
26450263
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
河邊 玲 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 教授 (80380830)
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研究分担者 |
勝又 勝郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, グループリーダー代理 (80450774)
古川 誠志郎 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), プロジェクト研究員 (90701235) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バイオロギング / データ同化 |
研究実績の概要 |
【目的】本研究では、日本列島周辺に生息する底魚類の移動追跡を可能とする“潮汐モデルとデータ同化シミュレーションを組み合わせた底魚類の位置推定システム”の開発を目指した。東北太平洋沿岸をモデル海域に選定して、ヒラメに深度・水温記録計を取り付けてバイオロギングして潮汐情報(観測潮時)を得る。以下の順に流れる計算アルゴリズムを開発する。1)潮汐予測モデルによって観測海域の潮時情報(予測潮時)を得て、観測潮時と照合して位置候補点を抽出する。2)1)で位置候補点が複数あった場合、記録計の深度と観測海域の海底深度を照合して位置を選定する。3)2)の計算でも位置候補点が複数となる場合、データ同化シミュレーションを用いて観測海域の海底水温を推定して、記録計の水温と照合して位置を絞り込んだ。 【方法】解析には、2015年までに東北常磐海域(放流は仙台湾と福島小名浜沿岸の2地点から実施)で行った標識放流調査から得た77個体分の深度・温度データを用いた。上記の1)~3)の解析アルゴリズムに加えて遊泳速度を変数に加えて候補点を絞り込むようにアルゴリズムをさらに改善した。 【成果の概要】位置推定点は174点が得られ、行動圏を推定したところコアエリアは両放流群ともに仙台湾内に出現したが、小名浜放流群では小名浜沿岸と三陸中部にも出現した。一方、95%行動圏は茨城県北部から三陸北部まで広範におよんだ。個体別の移動パターンは仙台湾周辺の小規模の移動にとどまるものと、常磐南部から三陸中部まで南北移動するものが認められた。本研究の結果から、当該海域におけるヒラメの分布は仙台湾から小名浜沿岸にかけてその中心があること、概ね高い移動性は示さないが、広域を移動する回遊群も存在することが示唆された。以上より、本研究で開発した位置推定システムは数10kmスケールの底魚類の移動生態の解析に適用可能なことが確かめられた。
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備考 |
開発した位置推定システムプログラムは、上記のアドレスにて無償利用が可能なソフトウェアとして公開している。 フェイスブックページでは速報的に野外調査の概要や関連の研究トピックなどを報告している。また、ホームページでは発表した論文の概要などの情報を掲載している。
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