研究実績の概要 |
平成26年度は、まず初めに哺乳類においてTh細胞の分化を誘導することが知られるサイトカイン:IL-4/13, IL-6, IL-12, TGF-betaおよびIFN-gammaについて、大腸菌発現系を用い組換えタンパク質を作製した。全ての組換えサイトカインにおいて可溶性タンパク質が得られ、ニッケルカラムを用いた精製、続くエンドトキシンの除去を終えた段階で、以降の実験に供試すために十分な収量が得られた。さらにWestern Blottingによって組換えサイトカインの特異性を確認したところ、予測されるサイズに良好な反応が確認された。続いて、抗フグCD4抗体(作成済み)を用い、MACS法によって抹消血よりCD4陽性T細胞(Th細胞)の分取を行った。当該細胞に作製した組換えサイトカインを作用させ、フローサイトメーターによって経時的な細胞の形態変化を観察したが、大きな形態変化は認められなかった。さらに、組み換えたイトカインを作用させたTh細胞におけるサイトカイン遺伝子ならびにTh細胞の分化を誘導する転写因子の発現をマルチプレックスRT-PCRアッセイによって確認した。その結果、組換えIL-4/13で刺激されたTh細胞では、IL-4/13遺伝子の発現が誘導され、IFN-gammaで刺激されたTh細胞においては、IFN-gamma遺伝子の発現が増加することが確認された。また、哺乳類においてTh0からTh1, Th2, Th17, iTregへの分化をそれぞれ誘導することが知られる、T-bet, GATA3, ROR-gammat, FoxP3遺伝子の発現解析を行ったが、作用させた組換えサイトカインの種類に応じた特異的な発現パターンは確認されなかった。
|