研究課題
平成28年度は、病原体感染時のTh細胞サブセットの変化を探ることを計画していたが、保有する病原体の状態が悪く感染試験を実施することができなかった。このため、哺乳類においてTh0細胞をTh1細胞に分化誘導することが知られる細菌の細胞壁構成成分:リポポリサッカライド(LPS)、Th0細胞をTh2細胞に分化誘導することが知られる寄生虫の構成成分:キトサンを分化誘導剤として実験を行った。まず初めに、血液よりMACS法によってCD4+T細胞(Th細胞)を分取し、本細胞をLPSまたはキトサンで刺激した。刺激後、平成27年度に構築した細胞内サイトカイン染色技術を用い、IFN-gammaポジティブ(+ve: 産生)細胞、IL-4/13ポジティブ細胞、ダブルポジティブ細胞、ダブルネガティブ(-ve)細胞の4グループで誘導されたTh細胞の分化を予測した。その結果、LPSで刺激後のTh細胞のポピュレーションは、IFN-gamma +ve細胞 17%、IL-4/13 +ve細胞 8%、ダブル+ve細胞 10%、ダブル-ve細胞 65%であった。本結果は、平成27年度のフグ組換えIFN-gammaを作用させたTh細胞のポピュレーション比と酷似しており、細菌感染時にはTh1細胞(IFN-gamma産生細胞)への誘導が進むことが示唆された。一方、キトサンで刺激したTh細胞のポピュレーションは、 IFN-gamma +ve細胞 9%、IL-4/13 +ve細胞 24%、ダブル+ve細胞 9%、ダブル-ve細胞 57%となり、フグ組換えIL-4/13を作用させたTh細胞のポピュレーション比(H27年度)と類似していた。このことから、寄生虫感染時にはTh2細胞への分化が誘導されることが示唆された。
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Developmental and Comparative Immunology
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http://dx.doi.org/10.1016/j.dci.2017.03.007