研究課題
昨年度までの研究により、単生類寄生虫ヘテロボツリウムがトラフグ粘液中のマンノース結合IgMを宿主認識に利用していることを突き止めた。今年度は、主にマンノース結合IgMの特性を明らかにすることを目的として、以下の実験を行った。まず、このIgMが、マンノース以外の糖と結合しうるかを検討した。具体的には、精製したマンノース結合IgMを市販の4種類の糖結合アガロースカラム(ラクトース、フコース、GalNAc、GlcNAc)に供し、結合画分および非結合画分を得た。これをSDS-PAGEに供したところ、いずれの場合においても非結合画分にバンドが認められた。このことから、トラフグのマンノース結合IgMは、少なくとも上記の4つの糖には結合しないことが示された。次に、マンノース結合IgMの可変領域のcDNA配列のクローニングを行った。まず、LC-MS/MSで得られたアミノ酸配列から縮重プライマーを設計した。次にこのプライマーを用いて5´RACEを行ったところ、187bpのcDNA配列を得た。今後、この情報を活用し、ゲノム編集技術を用いたマンノース結合IgMノックアウト個体を作出することで、寄生虫フリーのトラフグの生産を目指したいと考えている。
すべて 2017
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Journal of Immunology
巻: in press ページ: in press
doi: 10.4049/jimmunol.1601996.