トラフグは経済価値の高い水産重要種である。このトラフグの鰓に寄生する単生類ヘテロボツリウムは、宿主に吸血による貧血症状を誘発し、重篤な場合は死に至らしめるなど、トラフグ養殖の現場で大きな問題となっている。卵から孵化したヘテロボツリウムの幼生は体表に繊毛上皮細胞を有し、この細胞表面にある繊毛を用いて自由遊泳を行うが、宿主に到達するとこの細胞を脱落させ、すみやかに寄生期へと移行する。この現象、すなわち脱繊毛は、トラフグの体表を覆う粘液中の何らかの分子を幼生が探知することで生じると考えられている。 本研究において、その分子が、マンノースに親和性を持つIgM抗体であることが明らかとなった。
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