研究課題/領域番号 |
26450274
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研究機関 | 国立研究開発法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
玉置 泰司 国立研究開発法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, 主幹研究員 (80371863)
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研究分担者 |
桟敷 孝浩 国立研究開発法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, グループ長 (10453250)
松浦 勉 国立研究開発法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, 専門員 (00371857) [辞退]
清水 幾太郎 国立研究開発法人水産総合研究センター, 北海道区水産研究所, 専門員 (20425466) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 定置網漁業 / レストラン / 消費者評価 / 販売戦略 / 水産加工 / 付加価値増大 / 低未利用魚 |
研究実績の概要 |
千葉県内房地域の定置網と結びついたレストラン経営4事例の定置網経営状況とレストラン経営状況の分析を行い、レストランとしてのメリットは,定置網で漁獲される多種多様な高鮮度の漁獲物,大量の漁獲物が食材として確保できること。一方,定置網漁業者としてのメリットは,市場で価格の付きにくい,販売が困難な少量漁獲種の活用,高付加価値化などのメリットを十分発揮していることを明らかにした。今後の課題として、地魚へのこだわりを捨てず,地産地消を大切にする必要があり、低未利用魚を活用し,他県仕入は努めて行わないようにすべきであること。また,店舗を拡大して来客増を追求するよりも,付加価値による利益率アップを追求すべきであること。さらに,レストラン単独でなく,漁協の他事業,地元他業種との連携を図ることで人の流れを作り,更なる来客増を図る必要があることなどを明らかにした。本研究については、地域漁業学会で発表し、論文投稿中である。 定置網漁獲物の販売方法改善等に資するため、普段食材の買い物をする東京都区部・大阪市内在住の消費者を対象にアンケート調査を実施した。定置網で水揚げされた鮮魚の購入先としては、普段利用する食料品店等、直売所・朝市、宅配の順となった。今後、定置網漁業を核とした六次産業化に向けて、漁業者や漁業協同組合などは、食料品店への直接販売や食料品店内へのインショップ併設等が有益と考えられる。 秋田県および山形県において本州域におけるサケ定置網六次産業化事例について調査した結果、主要収入源は生サケと余剰イクラの水産加工会社への販売、加工品の地方発送からなっていた。北方圏国際シンポジウムにおいてサケ節・山漬けサケ生産による秋サケブランド化等のサケ六次産業化事例について報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿って、研究は進捗しているため。 すなわち、定置網漁業を核とした六次産業化について、定性的分析及び定量的分析を行い、千葉県や北海道の定置網について実施された流通方法の改善や事業の創出についての定量的分析を実施した。定置網の漁獲物販売方法改善等に資するため東京都区部及び大阪市内の消費者を対象にアンケート調査を行い、定置網漁獲物に対する消費者意識を明らかにした。 また、研究成果の一部について、学会での報告(研究代表者1報、連携研究者1報)を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度までの研究経過からは、研究計画はおおむね順調に推移しており、計画の変更は必要ないと考えられる。 今年度は、前年度に引き続き主要な事例について現地調査を行い、定置網漁業を核とした六次産業化による地域活性化への貢献を、六次産業化による雇用創出効果と関連産業への経済波及効果から定量的に把握する。 以上の成果及び前年度までに実施した定置網漁業の六次産業化にかかる定性的分析・定量的分析の成果及びアンケート調査による消費者ニーズ等の分析の成果を踏まえ、定置網漁業を核とした六次産業化が持続的に行われ、地域の活性化を及ぼすための条件を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査地域が近かったため、公用車での調査等により、旅費の使用が当初計画よりも少なくなった。また、人件費・謝金が必要な場面がなく、使用しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
より多くの事例分析から地域活性化条件を抽出するため、定置網漁業を核とした六次産業化の調査先を増やし、調査に要する国内旅費支出に振り向ける。
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