研究課題/領域番号 |
26450275
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研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
大関 芳沖 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, その他 (40371819)
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研究分担者 |
高須賀 明典 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, その他 (00392902)
岡村 寛 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, その他 (40371942)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 産卵生態 / 小型浮魚類 / 月齢同期性 |
研究実績の概要 |
1.産卵量調査データの整備 特にサンマを中心に、過去の産卵調査データに月齢データ等を付加し、魚種毎の産卵生態に留意して産卵日・孵化日月齢データセットを整備した。サンマについては魚卵の採集が出来ないことから、表層ニューストンネットによる稚仔魚採集を実施している。このうち1999~2012年に冬季黒潮域で行われた、サンマ仔稚魚分布調査2,261点について、採集時の水温データをもとに仔魚の成長速度を考慮して逆算した、孵化日データセットを構築した。孵化日データセットをもとに、水温により卵発生期間を推定して逆算することで、産卵日データセットを整備した。マイワシなど魚卵が採集できる魚種では、魚卵採集データの採集時水温をもとに卵発生期間を推定して逆算することで、産卵日・孵化日月齢データを整備した。 さらに、環境要因と月周産卵生態の関係解析に向けて、産卵海域(沿岸ー沖合)・産卵時期(産卵盛期ー始期・終期)に関するデータの付加を検討した。
2.魚種毎の月齢同期性産卵生態の解析 データの特性に対応した検定手法の開発に留意して、サンマに関する産卵生態の月齢同期性の解析を進めた。予備的解析により採集網数や採集日の特定月齢への偏りが認められたため、採集網数に対するデータの基準化を行った。マイワシやカタクチイワシなど産卵期間が長期にわたる魚種や海域が広範囲にわたる魚種に対しては、産卵期や海域によるデータ層化手法についても検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究実施計画で想定した、産卵量調査データの整備は順調に進み、サンマについては1999~2012年に冬季黒潮域で行われた、サンマ仔稚魚分布調査2,261点について、岡村らが既に発表した周期性検定手法を基礎とし、基準化手法の導入など新たな解析を加えながら検定手法の改良を進めることができた。最終的な解析結果については、2014年秋の日本水産学会大会で発表するともに、現在投稿論文を作成中である。 マイワシなど魚卵が採集できる魚種についても、1978年以降の魚卵採集データ整備を進め、採集時の卵発生段階と水温をもとに卵発生期間を推定して逆算することで、産卵日・孵化日月齢データの整備を行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
予定された年次計画に従って、平成27年度以降の研究を実施する。具体的には以下の通りである。 1.魚種毎の月齢同期性産卵生態の解析 前年に引き続き、データの特性に対応した検定手法の開発に留意して、個別に産卵生態の月齢同期性を解析する。月齢による周期性の証明については、26年度の研究進展により手法が確立しているので、確立された解析手法をデータ整備を進めてきたマイワシ・カタクチイワシ・サバ類などに適応して解析を進める。 2.環境要因が月齢同期性産卵生態に及ぼす影響把握と魚種間の比較 魚種毎に月齢同期性産卵生態を産卵環境との関係から解析した上で、魚種毎の産卵特性を環境要因による変化と月齢同期性の関係から比較検証する。この際、産卵海域(沿岸ー沖合)・産卵時期(産卵盛期ー始期・終期)・水温(産卵適水温ー適水温域外)などの環境条件を考慮して、産卵生態に認められる月齢同期性の強度を解析し、月齢同期性が強く発現する環境条件の有無を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品として購入を予定していたデータ解析用ノートパソコンについては、課題代表者が共同研究者となっている別の研究費が獲得されたことから、そちらで購入することが可能となり、次年度以降に先送りした。また、予算積算時に予定していた国内外の研究集会における成果発表を、配分時の減額により大幅に見なおし各自が参加を取りやめたため、結果的に残額が大きくなった。また、解析方法の見直し等により論文原稿執筆に遅れが生じたため、論文掲載料等の支出が次年度に繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
国内外への研究集会出席と論文投稿による掲載料の支出で使用する予定である。
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