研究課題/領域番号 |
26450281
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中野 俊樹 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10217797)
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研究分担者 |
白川 仁 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40206280)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際情報交流(カナダ) / 農林水産物 / 水産学 / 栄養学 / 組換え食品 / バイオテクノロジー |
研究実績の概要 |
魚類の成長は成長ホルモン(GH)-インシュリン様成長因子によるGH/IGF-I系により調節されている。GH遺伝子組換え魚は短期間で急激な成長を遂げるが、代謝産物の動態の詳細やストレスの影響、さらにエネルギーの生産性に関する知見は少ない。本研究ではGHを過剰発現しているGH組換えスーパーサーモンのエネルギー生産のメカニズムの解明を目指し、ストレスの影響やミトコンドリアの機能について検討した。 1, 成長ホルモン(GH)遺伝子組換えスーパーサーモンの作出:カナダ水産海洋省のデブリンらにより開発されたオールサーモン発現ベクターOnMTGH1を導入したギンザケ(Oncorhynchus kisutch) M77系をカナダ国立ウエス トバンクーバー研究所内の特殊隔離飼育施設で飼育し本実験に使用した。 2, 非組換えギンザケ普通魚: スーパーサーモンと比較するため2種類の非組換えギンザケを用いた。一つはカナダ・ブリティッシュコロンビア州、チヘイリス川産のギンザケ1歳魚、そしてもう一方は宮城県内の養鱒場より購入し東北大学大学院農学研究科内で飼育した当歳魚である。 3, 普通魚と組換え魚における代謝産物ついて:スーパーサーモンの特徴を把握するため組換え魚と非組換え魚に生理学的ストレスを与え、代謝産物のメタボローム解析を行った。合わせて食事制限により成長を調節しながら飼育したグループと食事制限後に普通食に切り替えたグループの比較も行った。組換え魚の代謝産物はストレスによる顕著な影響は認められなかった。また組換え魚において食事制限を施し、その後普通食に切り替えても代謝産物のレベルと傾向はあまり変わらないことが分かった。さらに普通魚と組換え魚の組織を用いミトコンドリアの活性についてデータ解析を継続中である。 今後はミトコンドリアの機能解析を中心に組換え魚におけるエネルギー生産のメカニズムを検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メタボローム解析により組換え魚と普通魚の代謝産物の動態を比較考察することができた。またミトコンドリアの機能を肝臓と筋肉について解析しているので、次年度は組換え魚におけるエネルギー生産のメカニズムについてさらなる知見が得られるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ研究計画に大きな変更はない。前年度得られたデータをさらに解析し、普通魚と組換え魚におけるエネルギー生産の類似点および相違点について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外研究協力者と実験を行うためカナダの国立研究所に滞在したが、当初の予定より期間を短縮したため旅費の支出が少なくて済んだことが未使用額が生じた大きな理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は海外における成果発表の機会があるので、繰り越し分はその旅費に充当したいと考えている。
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