研究実績の概要 |
アメフラシ消化液に存在する多糖類分解酵素の構造解析、および大量発現と応用をめざし、cDNAクローニングを行い、110kDa β-グルコシダーゼ (BGL),59kDa、80kDa α-アミラーゼ (Amy)、45 kDa, 21kDa β-1,4-エンドグルカナーゼ (EG)は、完全長のcDNAを得た。74 kDa, 86 kDa α-グルコシダーゼ(AGL)、95kDa, 65kDa β-1,4-エンドグルカナーゼについては、全体の90%程のcDNAを得、現在5'-RACEによって完全長cDNAクローニングを進めている。 さらに、アラメ消化液と種々の海藻を反応すると、最も多くのグルコースが遊離するのはアラメ(乾燥重量10mgあたり2.5mgのグルコースが遊離)であるが、アラメとBGL、EG、ラミナリナーゼ等の精製酵素を反応してもほとんどグルコースの遊離は認められない。その原因を解析する過程で、アラメの糖化を促進する25kDaのタンパク質 (EHEP) を同定した。EHEPはアラメに含まれるβ-グルコシダーゼ阻害物質であるフロロタンニンと結合し、その阻害作用を抑制することによってラミナランの糖化を促進することを明らかにした。EHEPのcDNAクローニングも行い、塩基配列を登録 (LC122548)した。 また、消化液に含まれる機能未知のタンパク質を精製し、アミノ酸配列情報を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アメフラシ肝膵臓cDNAを鋳型としたPCR法によって多糖類分解酵素のクローニングを進め、45kDa, 21kDa EG、110kDa BGL、74kDa AGL、59kDa, 80kDa Amyは全長cDNAを得た。また、アラメの分解を促進するEHEPのクローニングも行ったので、現在、多糖類分解酵素やEHEPの酵母による発現系の構築を進めている。さらに、ラミナランを分解する新規の酵素CDEを同定し、そのクローニングも進めている。 また、アラメの分解を促進するEHEPの作用機構を解析し、フロログルシノールから構成されるフロロタンニンと特異的に結合するポリフェノール結合タンパク質であることを明らかにした。EHEPの特異抗体を作製し、EHEPタンパク質の発現分布や生合成機構を解析する準備が整った。
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