本研究では粘膜組織である鰓と腸管に着目して、魚類の粘膜に直接ウイルス抗原を投与する経鰓感作と経腸管感作法によって局所および全身の獲得免疫が誘導されるかを検討した。その結果、粘膜感作によって、局所だけでなく全身における細胞性免疫および液性免疫応答が誘導された。興味深いことに、不活化ウイルスにおいてもウイルス感染細胞に対する傷害活性が誘導されたことから、魚類では局所免疫の活性化によって不活化ワクチンでも細胞性免疫が誘導されることが示された。以上の結果より、魚類の鰓および腸管は、ウイルス抗原に対する粘膜ワクチン投与部位として有望であることが明らかとなった。
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