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2014 年度 実施状況報告書

交雑フグと交雑起源種におけるフグ毒蓄積機構の究明

研究課題

研究課題/領域番号 26450287
研究機関長崎大学

研究代表者

高谷 智裕  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (90304972)

研究分担者 荒川 修  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (40232037)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード交雑フグ / TTX / フグ毒
研究実績の概要

本研究では日本各地において出現する自然交雑フグの種同定や安全性調査を行うとともに,フグ毒の組織分布を調べ,交雑起源種(両親魚種)の毒蓄積や形態学的特徴との遺伝的関係について明らかにすることを目的としている。また,人為的に交雑フグを作出することにより、形態学的特徴や毒蓄積能について起源種と比較し,天然海域に出現する交雑フグの評価につなげる。
26年度においては、瀬戸内海において採取された自然交雑フグ15個体につき、毒性試験を行ったところ、1検体のみ毒性が確認された。本個体の組織別の毒性は肝臓(449 MU/g)、生殖巣(273 MU/g)、腸(264 MU/g)、皮(43 MU/g)の順に毒性が高く、筋肉でも5 MU/gの毒性が確認された。当該フグの形態的特徴から本個体は交雑種ではなくマフグ純系であることが示唆された。
次いで、トラフグ(雄)とマフグ(雌)から人工交雑フグ(マトラ)を作出し、マトラの形態学的特徴を検証するとともにこの無毒交雑フグにTTXを投与することにより、マトラ体内での毒の動態(蓄積)について検討した。マトラ8ヶ月齢魚への投与試験の結果、投与後120時間におけるTTX蓄積は蓄積率が約60%でそのほとんどが皮に蓄積していた。この結果は先に行ったトラマ(マフグ♂xトラフグ♀の人工交雑)に比べ皮への分布が大きいことが分かった。また、棘の有無や体色、模様などの形態学的特徴は両親種の特徴の中間型を呈することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

連携研究者の協力により人工交雑フグの作出に成功し、予定通り実験を行うことができたことや、天然交雑フグの入手ができたことにより、自然界での評価を行うこともできたことが挙げられる。ただ、種同定の部分では遺伝的解析ができていないため、こちらについてはH27年度の課題になる。

今後の研究の推進方策

今後はマトラ12か月個体を用いたTTX投与による毒の対内動態の評価(成長による動態の変化)と天然交雑フグの遺伝的解析手法を用いた種同定などに取り組む。また、マフグ純系の無毒個体作出を行い、マフグの毒蓄積評価についても行いたい。

次年度使用額が生じた理由

実験試料として用いるフグ試料の入手時期が3月~4月頃のため年度を越えて入手することがあり、一応H26年度内に資料の入手を予定していたが、入手時期の遅れにより次年度へ繰り越すこととなった。

次年度使用額の使用計画

フグ試料および送料

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Larval pufferfish protected by maternal tetrodotoxin2014

    • 著者名/発表者名
      S. Itoi, S. Yoshikawa, K. Asahina, M. Suzuki, K. Ishizuka, N. Takimoto, R. Mitsuoka, N. Yokoyama, A. Detake, C. Takayanagi, M. Eguchi, R. Tatsuno, M. Kawane, S. Kokubo, S. Takanashi, A. Miura, K. Suitoh, T. Takatani, O. Arakawa, Y. Sakakura, H. Sugita.
    • 雑誌名

      Toxicon

      巻: 78 ページ: 35-40

    • DOI

      10.1016/j.toxicon.2013.11.003.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] フグ毒を投与したトラフグ人工種苗の 嗅上皮および脳のトランスクリプトーム解析2014

    • 著者名/発表者名
      沖田光玄・佐藤根 妃奈・陳 盈光・木下滋晴・浅川修一・山崎英樹・崎山一孝・ 高谷智裕・荒川 修・阪倉良孝・萩原篤志
    • 学会等名
      日本水産学会
    • 発表場所
      三重大学(三重県津市)
    • 年月日
      2014-09-19 – 2014-09-22

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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