研究課題/領域番号 |
26450287
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高谷 智裕 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (90304972)
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研究分担者 |
荒川 修 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (40232037)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 交雑起源種 / マフグ / トラフグ / TTX |
研究実績の概要 |
フグのフグ毒(TTX)蓄積能は成長段階によって変化するが、その詳細については不明な点が多い。また、交雑フグの毒蓄積についてはこれまでマフグ-トラフグ人工交雑フグを作出し、TTX投与による毒蓄積について検討した。本研究では、交雑起源種であるマフグとトラフグにつき、孵化仔魚を人工飼育しながら経月的にTTX投与試験を行い、成長に伴うTTX蓄積能の推移について検討した。 2015年4月に孵化したマフグとトラフグの無毒人工飼育個体(それぞれ2.5~8.5および3・4ヵ月齢)につき、TTX標品を20 MU/20 g体重の用量で筋肉内投与し、5日後に取り上げた。いずれも、筋肉、皮、肝臓、およびその他内臓に分け、フグ毒検査法に準じてTTXを抽出後、LC-MS/MSにより定量した。5.5および7ヵ月齢のマフグについては、皮の薄切切片を作成し、免疫組織化学的観察を行った。 マフグのTTX蓄積率(投与TTX量に対する体内に蓄積した総TTX量の割合)は、4ヵ月齢まで10%台であったが、その後大きく増加し、8.5ヵ月齢で最大(43.5%)となった。トラフグでも3ヵ月齢(25.6%)より4ヵ月齢(35.4%)の方が高かった。一方、各部位の相対TTX量(体内総TTX量に対する各部位のTTX量の割合)をみると、両種ともに皮の占める割合が58.2~92.6%と最も高く、かつその割合は月齢が進むにつれ漸増した。マフグの皮には、5.5ヵ月齢ですでに腺組織が観察され、TTXは当該腺組織および基底細胞に偏在していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連携研究者の協力により、交雑起源種であるマフグおよびトラフグの人工種苗作出に成功したことから、これら起源種へのTTX投与およびTTX蓄積試験を行うことができた。種同定については28年度にむけて現在、遺伝的解析を行う準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
27年度中にも天然交雑個体の入手ができたことから、この試料の毒分布および遺伝的解析による種同定を行う予定である。また、27年度に続き、マフグ純系個体の成長によるTTX蓄積と体内動態変化についても行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
両親種の判定をするための遺伝子実験の着手が遅れたため
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次年度使用額の使用計画 |
遺伝子に関わる実験を行う物品を購入予定
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