研究課題
本研究では天然交雑フグにつき、母親種を同定するとともに、毒性の調査および形態的特徴を記録した。加えて、人為的に交配した人工交雑フグに投与したTTXの移行・蓄積を調査することで交雑フグの毒蓄積能についても検討した。2015年10月~2016年2月に遠州灘で漁獲された交雑個体15個体につき、それぞれ形態的特徴を記録後、マウス毒性試験により各部位の毒力を測定した。一方、筋肉からDNAを抽出し、PCR後、ミトコンドリアDNA中の16SrRNA領域の塩基配列を決定し、母親種の同定を行った。他方、マフグ♀とトラフグ♂を人為的に交配して作出した人工交雑個体(マトラ)2および8ヵ月齢魚につき、それぞれ20および200 MU/個体の用量でTTXを筋肉内投与、もしくは経口経管投与し、その後最長120時間飼育した。この間、経時的に各群3尾ずつ取り上げ、LC/MSで各部位の毒量を測定した。天然交雑フグは、15個体いずれもトラフグの特徴である黒斑の白い縁取りや体表の小棘およびマフグの特徴である体側の黄色縦帯をもつ特徴を示した。塩基配列を確認したところ母親種はマフグ9個体、トラフグ6個体であった。全ての個体から毒は検出され、特に卵巣および肝臓の毒力が高かった。一方、筋肉および精巣は食品衛生上‘無毒’であったが、皮からは10 MU/g以上の毒力を示す個体が7個体存在した。また、母親種がトラフグとマフグの個体の毒力を比較したところ、マフグが母親種の方が高い毒性を示したことから、毒蓄積能については交雑フグでは母親種の影響を強く受けるものと推測された。一方、マトラへのTTX投与試験ではマトラではTTXは一旦肝臓に、その後皮に移行・蓄積したが、当該移行プロファイルは両親魚の雌雄を入れ替えて作出した交雑個体(トラマ:先行研究において8ヵ月齢魚では体内残存TTXの大半が最終的に肝臓に移行)とは若干異なっていた。
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