研究課題
魚類ではLPS刺激に対して炎症反応や貪食活性等の免疫応答があるにも関わらず、TLR4を介したLPS認識機構が欠損しているばかりか、細胞内のLPS認識機構も不明である。そこで申請者は、未だ不明な細胞内LPS認識機構に、魚類のLPS認識を担う受容体(センサー)が存在しているのではないかと考えた。本研究事業では、魚類における初めての細胞内LPS認識センサーの発見を目的として、魚類細胞内における細胞内寄生性細菌LPS認識機構に関与するインフラマソーム関連遺伝子の同定およびその認識機構を解明することを計画している。H26およびH27年度で、トラフグのインフラマソーム関連遺伝子をクローン化し、NLRファミリー遺伝子はNLR-C10およびNLR-C12遺伝子が最も有力な候補であると考えられたが、これらの2つの遺伝子には、インフラマソームを形成するためのPYDドメインを持たないことが分かった。そこでトラフグゲノムを再度詳細に探査したが、PYDドメインをもつNLR分子は見つけることが出来なかった。また、LPS認識において実際に結合するCaspase-4/11について、魚類のゲノムを網羅的に探査したところ、哺乳類のCaspase-4/11遺伝子に相同な魚類の遺伝は全く見つからず、Caspase-1のみがこのサブファミリーで確認できた。以上のことから魚類のインフラマーソームを介した炎症反応誘導機構は、哺乳類のものとは異なっていることが示唆された。しかしながら、これまでの研究成果からトラフグの腎臓細胞ではLPS、ナイジェリシン、シリカ結晶およびアラムの刺激によって炎症性サイトカイン遺伝子の発現が強く誘導されることから、これらの誘導に何らかの形でインフラマソームが関与していると推察される。我々の解析では、メダカ等の他魚種において、PYDドメインをもつNLR遺伝子が発見されているため、これらの魚種を用いて、Caspase-1によるIL-1βの活性化試験を行っている。
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Genome Announcements
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