研究課題/領域番号 |
26450298
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研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
奥澤 公一 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, グループ長 (00211813)
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研究分担者 |
宇治 督 国立研究開発法人法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, 主任研究員 (40372049)
風藤 行紀 国立研究開発法人法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, 主任研究員 (60399996)
藤原 篤志 国立研究開発法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, グループ長 (30443352)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ゲノム / マダイ / 次世代シークエンサー / 半数体 |
研究実績の概要 |
2014年度はマダイのゲノム解読のための半数体を作出し、また雌性発生二倍体の作出を試みた。さらに半数体のゲノム解読を実施した。はじめに半数体および雌性発生二倍体を作出するため、マダイ精子のゲノムを破壊(不活化)するための紫外線照射条件の検討を行った。その結果3000 erg/mm2が適当と判明した。次に不活化精子を用いて人工授精を行い半数体仔魚を作出した。さらに不活化した精子を媒精した半数体受精卵を高圧処理することで第一卵割阻止型の雌性発生二倍体(ダブルハプロイド)の作成を試みた。種々の条件下でゲノムの倍化を試みたが、正常な形態の孵化仔魚の割合は最高でも0.12%であり、ほとんどは半数体症候群と思われる形態異常であった。現在ダブルハプロイド候補4個体を飼育中である。これらの個体は十分な大きさまで成長させた後、標識装着により個体識別した後、鰭の一部を切除してそこからゲノムDNAを抽出し、マイクロサテライトマーカーを用いて完全ホモ化の確認を行う予定である。一方、得られた半数体仔魚についてプロイディーアナライザーを用いて半数体であることを確認した後、仔魚全体からDNAを抽出し中央水産研究所保有の次世代シークエンサー、イオンプロトンでゲノム塩基配列解析を実施した。得られた配列をアセンブルしたところ、約10万のコンティグ(平均7kb、最長200kb)が得られ、遺伝子発現解析(RNA-seq)で利用するリファレンス配列の整備が進んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画ではマダイゲノムのバイオインフォマティクス解析を行って遺伝子領域の推定を実施する予定であったが、雌性発生2倍体の作製が難航したことにより計画に遅延が生じた。この遅延は次年度以降に解消できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初計画通りにマダイ卵濾胞における卵成熟能獲得前後の遺伝子発現の解析および卵成熟能獲得過程における遺伝子発現を次世代シークエンサーを用いて解析する。加えて昨年度未実施であったマダイゲノムの遺伝子領域推定を実施する。計画変更および研究を遂行する上での問題点や課題は特にない。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に実施する事項として、マダイゲノムのロングリード次世代シークエンサーによる塩基配列解読を外注して行う予定であった。しかし計画していた雌性発生2倍体の作製が年度内には出来ず、ロングリードシークエンサーに必要なDNA量が確保できなかった。そこで次善の策として半数体マダイのゲノム解読を実施した。これは中央水研が所有する次世代シークエンサー(イオンプロトン)を用いて実施可能であった。この中央水研でのマダイゲノム解読を実施するにあたり、遺伝子解析センターの藤原グループ長に研究分担者として参画してもらった。以上の計画変更により外注によるゲノム解析費用が必要なくなったので、次年度に繰り越した。なお、今回の計画変更は研究全体の遂行には全く問題ない。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度使用しなかった研究費は、今年度に計画している次世代シークエンサーによる網羅的発現遺伝子解析に使用する。
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