研究課題/領域番号 |
26450304
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
首藤 久人 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40292792)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インド / 食料消費 / 構造変化 |
研究実績の概要 |
インドでは近年肉類消費が顕著に増加していることから,その消費構造を明らかにすべく,全国標本調査個票を用いて,2000年代以降に行われた二回の接続したデータセットに基づき,需要体系による分析を試みた。特に,世代別の商品への需要の大きさを探るため,またその世代の時点間の需要の変化をみるために,世帯主の世代を世帯属性変数の一つとして組み入れた研究を試みている。一方,これまで同種のデータを用いた需要分析では,支出額と消費数量から算出される商品単価を価格の指標として用いられることが多いが,これを価格の代理変数として扱う問題については従来から議論があるため,本研究では小売価格データベースを用いた形で分析を行っている。これらの研究成果については,とりまとめを行っており,投稿に向けて準備中である。 また,インドの時系列的な消費構造の変化に関連して,Deaton and Drezeなどによって衛生環境の改善が食料消費の変化に果たす役割が仮説的に示されてきたが,大学院生との共同の研究として,インド人間開発調査(IHDS)個票を用いて家計の飲料水の自発的な衛生的な処置が穀物由来のカロリー摂取に及ぼす影響を分析した。自発的な行動である点をふまえ処置を行うか否かがカロリー摂取に及ぼす影響を傾向スコアマッチングによる処置群における平均処置効果を算出し,特に農村部の低い支出階層において有意にカロリー摂取が低まる可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析手法上,検討すべき課題への対応に取り組んできた。特に需要体系分析上の価格変数の扱い,また複数財におけるゼロ消費の問題についてのアプローチを検討するために時間を要している。しかし,少なくとも2000年代の分析については,利用可能なデータを用いることなどにより分析についておおむね方向性が確定されたため,研究を公表するべく努力したい。
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今後の研究の推進方策 |
推定方法については議論の余地があるため,検討を試みたい。それらも踏まえて全体的な消費の動向についての需要分析の精緻化に向けてさらに取り組むと同時に,食料分配政策の効果などについても組み入れた研究を行う予定である。また最終年度のことからとりまとめに向けて努力を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
需要体系推定上の課題に取り組むためのアプローチの検討などに費やしたことから,成果の校閲や公表にかかる費用の利用がなされておらず,そのための次年度の使用となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
成果の公表を行うことから校閲や旅費など公表にかかる費用に用いる予定である。さらに,推定上の必要から周辺機器,データ・ソフトウェアの導入・アップデートなどを行う予定でいる。
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