農政改革下における担い手育成支援と地域営農システムについて、主に農地中間管理機構による農地流動化と担い手育成システムについて、その実績の全国的動向を整理検討した。そこでは、担い手への農地集積率がほぼ5割に達し、その加速化が進展していること、しかし、中間管理機構による実績は、既存流動農地の制度変更としての「付け替え」が半分程度存在し、なお制度的問題を抱えていること、担い手の形態としては集落営農形態でその活用が進展していること、地域的にはそうした集落営農形態を主体とする東北、北陸、近畿、中国地方でその活用が進展していること、事例的には、圃場整備と連動した事業推進が進展していることなどを検討した。第2に、担い手が欠落し耕境後退が進む中山間地の代表として、兵庫県養父市の国家戦略特区における農外企業参入による耕作放棄地解消対策の動向を実態的に検討した。そこでは、耕作放棄の増大と国家戦略特区の指定を契機に、県内建設業の農外参入が進展し、耕作放棄地の再生と農外企業による農業参入の形態を検討した。そこでは、建設業における従業員管理、事業多角化の方向づけとしての農業参入の位置づけを基礎に、農業の6次産業化の方向としての日本酒製造と輸出戦略が絡むと共に、現地の地域保全に向けた集落全体での支援システムと企業との協力関係の形成が大きな役割を果たしていることを検討した。第3に、個別規模拡大の進む栃木県の展望として、土地利用型経営における規模拡大と共に、米政策改革のもとでの稲作の停滞減少のもとで、露地型園芸作物作物の導入等、大規模複合経営確立の方向づけの検討を行った。そこでは、従来の米・麦・大豆等の土地利用型作物の面積拡大に加えて、機械で収穫できる作物群を中心に、園芸作の導入が大規模経営においても進展すると共に、作業ピークの平準化を確保することで、雇用型経営への展開を進めている実態を検討した。
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