本研究の目的は、気候変動により深刻化する気象災害に着目し、特に農業との関連において脆弱な地域や世帯を特定し、影響を与える要因を明らかにすることにある。資料は、水害リスクの高いフィリピンと干ばつリスクの高いセネガルで収集した。分析結果は、脆弱性インデックスの評価項目の重要度に対し統計的に有意な影響を与える要因は少ないこと、脆弱性インデックスは複数の要因によって決定されており単一の変数で代表させることは難しいこと、脆弱性の水準についてフィリピンでは地理的属性が、セネガルでは農家属性が相対的に強く影響していること、被害の受け易さと被害後の回復の速さには単純な関連が見いだせないこと等が明らかになった。
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