研究課題/領域番号 |
26450307
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小林 弘明 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (70329019)
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研究分担者 |
丸山 敦史 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (90292672)
石田 貴士 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 助教 (30623467)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国際食料経済・貿易 / 地域貿易協定 / 経済連携協定 / 貿易転換・創出効果 |
研究実績の概要 |
ASEAN自由貿易地域の物品貿易協定においてコメを含む農産品の関税を撤廃したとされるタイの市場動向に着目し、さらに国内市場における消費者のコメの選好構造を調査した。またタイと陸続きで同じASEANメンバー国としてコメの交易関係が発生しているラオスについても農産品貿易の現状、特にコメのバリューチェーンと消費者選好を調査した。ラオスについて、AEC成立後の期間、タイとの間の従来からの経済的結びつきの強さとともに、中国のプレゼンスの高まりを確認することができた。コメは物品貿易協定においては重要品目として関税撤廃の例外とされているものの、タイ米はすでにラオス市場で一般的に売られている。さらにラオスの消費者のタイ米に対する選好の強さが本研究課題で実施したアンケート調査結果によっても明らかになっており、貿易協定による影響を評価することの困難性が明らかとなった。 また作業はなお継続中ではあるが、昨年度フードシステム学会で発表したわが国EPAによる貿易構造の変化を統計的に明らかにする時系列分析について、内容をブラッシュアップして投稿原稿として取りまとめる作業を行った。昨年度の研究では、わが国EPAの進展下においていくつかの農産品について貿易転換効果を検出することができたが、貿易創出効果については今のところエビのケースについてしか統計的に有意な関係として導くことができていない。タイ及びラオスでの調査を行ったのは、ASEANの物品貿易協定のケースでわが国に関するものと同様の分析を適用する可能性を探ったものであったが、上記により得られた知見の一つとして、ASEANの物品貿易協定でいう関税撤廃には実効性において問題点があると考えられる。
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