研究課題/領域番号 |
26450312
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
工藤 春代 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60452281)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 食品安全 / リスク管理 / 食品事業者 / 国・地方自治体 |
研究実績の概要 |
平成26年度には課題(1)「食品事業者における食品安全確保のためのシステムの導入状況と課題」と課題(2)「食品安全措置の実施に果たす公の役割と国と地方自治体の役割分担」に関して、国内外の文献と資料の収集を行った。
そのうえで平成26年度は、課題(1)を中心に実施した。農業生産者および食品製造業者を検討対象としているが、主に農業生産段階の現状と課題を明らかにした。 まず、日本における農業生産段階における食品安全の公的な規制内容を、EUの法的要件やコーデックス委員会の原則と比較しながら整理した。地方自治体の行政担当者へのヒアリングも実施した。比較の結果、日本では法的要件とされている項目が少なく、ガイドラインで対象とされる項目が多いことが分かった。そして前年度までの科研費若手(B)の公的な監視制度の問題点と合わせて、9月の日本農業経営学会大会にて報告を行った(13の学会発表欄に記載)。 さらに農業生産段階では、農業適正規範であるGAPが「農業生産工程管理」と訳され、生産者や産地での導入・普及が進められているが、GAPについては概念の混乱が見られる。そこで食品衛生管理の考え方や、コーデックス委員会、ISOの文書、EUの政策文書などを元に、GAPの概念を再整理し、日本における現状の理解の幅を明らかにしたうえで問題点を考察した。また地方自治体において都道府県版GAPが作成されており、入手できる情報に基づいて内容の比較を行った。さらに国内の2産地において、GAPに関するヒアリング調査を実施した。食品製造業者の安全確保・品質管理のための自発的なプログラムに関しては、主に欧州の先行研究を中心に整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度には、課題(1)(2)に関する先行研究や資料の収集については予定通り進めることができた。 また課題(1)について、日本の農業生産段階に関して、行政および産地でのヒアリング調査を実施することができた。しかし、GAP(農業適正規範)概念の混乱が見られたことからその整理に時間を要した。そのため26年度には、農業生産段階に加えて、食品製造段階における安全・品質確保のためのプログラムの導入状況や現状と課題の検討のため食品製造業者に対してアンケート調査を実施する予定であったが、その実施にまで至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
27年度には、26年度に残された課題を引き続き実施したうえで、27年度以降については交付申請書の計画通りに研究を実施する予定である。 具体的には課題(1)に関する食品製造業者へのアンケート調査を実施する。また課題(1)(2)に関する内外でのヒアリング調査を進める。国外ワークショップでの成果報告を行う予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度には、26年度から296,241円の予算が繰り越されている。 申請時の計画では、食品事業者へのアンケート調査のための予算を計上していたが、26年度に実施できなかったため、その予算が残された。 また物品費として書籍代を20万円計上していたが、当初想定していたより少ない額で入手できたものがあったため、その予算が一部残された。
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次年度使用額の使用計画 |
26年度に実施できなかった食品事業者へのアンケート調査の実施に使用する。ヒアリング調査やアンケート調査のデータ整理に必要なノートパソコンの購入に使用する。 また申請時の予算では、27年度には国内外での調査や成果報告のために、旅費を最も多く計上している。これらを含め、27年度の予算については予定通り使用する予定である。
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