生鮮食料品の円滑な分配のためには、経済発展段階に応じた公的及び民間流通システムの相互補完的機能の発揮が必要であるという仮説を、主に広島の戦後復興過程を事例に検証した。その結果、戦後の配給と闇市等での食料品調達において、近郊農村と結びついた農産物取扱商業資本が分配を担い資本を蓄積し、都市商業の重要な位置を占めていくこと、また経済復興過程で成長した民間集荷業者が中央卸売市場に入場した点に注目し、中央卸売市場の商取引部分は民間の慣習や経営理念に基づいているという公的流通システムの中の私的資本の活動等を明らかにし、その点が卸売市場制度改革における議論の混乱の一要因である点を指摘した。
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