本研究は,農業者が農村社会の信頼と協力を介して農業経営の発展を図る場合に構築する農業経営の形態として,農業者が共同で集落営農を推進する場合と,企業的農業経営体が地権者より農地を集積して経営発展を実現する場合を想定した.前者に関して本研究は,農業者が集落営農による協力の利益をいかに認識し得るか,また,集落営農組織がその参加者に対していかに人的投資を行うべきかを明らかにした.一方,後者に関して,本研究は,企業的農業経営者がいかに労務管理,人材育成を進める傾向があるかを示し,また,そうした経営管理努力を通じて彼らは,農地保全を期待する近隣の農業者からいかに協力を引き出し得るかを経済学的に説明した.
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