研究課題/領域番号 |
26450319
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研究機関 | 共栄大学 |
研究代表者 |
中村 哲也 共栄大学, 国際経営学部, 教授 (80364876)
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研究分担者 |
矢野 佑樹 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 講師 (40618485)
丸山 敦史 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (90292672)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スウェーデン / フィンランド / ウクライナ / 食の安全・安心 / 放射性物質 / 原子力発電所 / 食品安全管理政策 / 政府情報の信頼性 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、スウェーデンを事例として,原子力政策と食料安全管理を市民がどのように評価しているのかを考察した。原子力を推進する者と脱原発を推進する者の差異を,順序ロジット分析によって推計した結果,両者は各デメリットを知りながら,推進していた。また食品内の放射性物質に関する関心度についても差異があるのか,順序ロジット分析を推計した結果,女性や学歴が高い者が関心を持っていた。最後に食品内の放射性物質の規制値を下回る食品の支払意思額についてトービット分析を推計した結果,放射性物質に関心がある者や原発事故で被曝した産地を現在でも確認する者の支払意思額は高かったが,汚染地域では支払意思額が低かった。 次に,フィンランドでは,政府の食品及びエネルギーの安全情報がどのような市民に信頼されているのか,統計的に推計し,考察した。その結果,政府が提供する食品の安全性情報を信頼する者は,男性であり,年齢や教育水準,年収が高く,北部に居住する者であった。また,政府が提供する食品の安全性情報を信頼する者は,男性であり,教育水準や年収が高い者であるが,12歳の子供がいる者には信頼されていなかった。フィンランドは,世界でも1,2位を争うほど,国民から政府が信頼されている国であるが,食品及びエネルギーの安全情報についても,高く信頼されていた。 更にウクライナを事例として、食品内の放射性物質の安全対策された安全食品を購買する階層を探るための分析を推計した。チェルノブイリ事故を記憶しているのは高齢者や高所得者、チェルノブイリ近郊の居住者等であった。ソ連政府の情報開示を信頼しているのは親ロシア派が多い東部であるが、逆に反ロシア派が多い西部では信頼しない。最後に、放射性物質の規制値を下回る食品を購入するのは、女性や世帯員数が少ない者であるが、クリミア危機の渦中にある東西ではジャガイモは購入しないという結果に至った。
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