研究課題/領域番号 |
26450320
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
両角 和夫 東京農業大学, その他部局等, 教授 (30312622)
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研究分担者 |
平口 嘉典 女子栄養大学, 栄養学部, 講師 (10509285)
西澤 栄一郎 法政大学, 経済学部, 教授 (30328900)
加藤 麻希子 東京農業大学, その他部局等, その他 (40650586) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域の自然資源 / 地域ビジネス / 農家の副業的事業 / 木炭発電 / 水車発電 / 森林組合 / グリーン電力の環境価値 / 自伐型林業 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地域の自然資源を活用して農家が取り組む副業的事業を地域ビジネスとして実現するため、地域に根差した推進体制を構築するには何が必要か、岩手県陸前高田市の特定の集落を対象にして解明することにある。このため、次の三つの課題を設定した。第一は、この集落の農家がどのように地域資源を活用した副業的事業をしているのか、その実態の把握、第二は、農家の副業的事業を採算の取れるビジネスにするために必要な集落レベルの支援・推進の体制の在り方、第三は、当該集落を含む地域における他組織との連携・協力の在り方の解明、である。初年度は、第1及び第2の課題を中心に検討し、本年度は第3の課題を含めて調査、研究を行った。この集落では、(国研)科学技術振興機構及び農林水産省の事業を導入し、農家が森林の間伐材や用水を利用し、木炭発電や水車発電に取り組んでいるが、今年度は、かかる事業の推進や当面する課題を検討するとともに、地域の林業や森林組合の間伐への取り組みの実態、問題点等の調査、検討を行った。木炭発電等に関しては、木炭発電等で発電した電気の環境価値、すなわちグリーン電力価値を市場で売り、それで発電コストの補てんをするグリーン電力制度の活用に取り組み、実際の販売にこぎつけることが出来た。この成果は、地域資源を活用した農家の副業的事業をビジネスとして実現する可能性を一段と高めるものと考える。一方、森林林業および森林組合の実態分析からは、近年の木材価格の大幅低下で林業の停滞し、森林組合も現状では間伐などの事業を進めることが難しい状況にあること、現状を打破するには、農家がこれまでのように森林組合に委託するのではなく、自分たちで所有する森林の間伐を行う、自伐型林業が必要であることなどを確認した。その上で、集落での自伐型林業の推進の在り方に関して検討を行うと共に、次年度に向けての課題の整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、単に地域資源を活用した副業的事業をビジネスとして実現するだけではなく、併せて、地域の自然環境を修復を目指すことで、地域の持続的な発展を図ることに最終的な目的がある。このため、(国研)科学技術振興機構や農林水産省の事業等を導入し、集落の農家の方々と協働して、悪化した森林の自然生態系の修復をビジネスとして実現し、環境と経済が両立する地域社会が構築できる取り組みを行ってきた。こうした取り組みでは、間伐材を利用した木炭発電および河川等の用水を使う水車発電等が事業として採算がとれるように仕組むことが求められる。今年度は、農家によるこうした発電等の推進に必要な体制の整備を行うことでグリーン電力証書制度の利用にこぎつけることが出来た。また、地域の林業と森林組合の取り組み体制に関して実態分析を行ったことで、新たに自伐型林業の必要性と今後の課題を明らかにすることができた。今年度は、こうした調査、検討によって、本研究が目指す環境を元手とする農家の副業的ビジネスを実現するための推進体制の構築が進んだと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまで取り組んできた農家レベルでの木炭発電および水力発電の改良や発電した電気の利用方法の拡大に加えて、発電能力の不足で実現の遅れた電気式温室での栽培等に取り組む。またその一方で、自伐型林業の実現に向け、必要な研修はもとより、農家に対する取り組み意向の調査等を行うなどして、今後の展開に一定のめどをつける。そして、こうした農家レベルの副業的事業の推進を集落レベルで支援するため、既存の集落組織をベースとした、自らもビジネスを担いうる新たな事業体の創設について検討し提示する。新たな事業体では、例えば、農家の自伐型林業を実現するうえで必要な林地の利用調整(間伐を効率的にできるよう、貸借等により特定の農家に林地を集積するなど)の実施、間伐材の搬出の新たな仕組みの開発、発電した電気の利用のための蓄電・給電システムの充実、大型ガマの設置、運用等木炭発電に必要な低コストの木炭の確保、電気式温室で生産した農産物のマーケティングなどの事業を行うことを考えている。このため、国内外の先進事例を調査するなどして、この地域に根差した新たな事業体の在り方を検討し、集落の農家はもとより、地域の他組織とも話し合って新たなモデルを作り出し、その実現の在り方を検討することにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、集落レベルでの事業推進体制に関する内外の先進事例を調査する予定であったが、候補地の選定等に手間取り、翌年度に繰り越すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度実施できなかった集落レベルでの事業推進体制に関する内外の先進事例を調査する。
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