研究課題/領域番号 |
26450323
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
柏 雅之 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40204383)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中山間地域 / JA出資型農業生産法人 / 第3セクター / 市町村農業公社 / イギリスの農村政策 / イギリスの農村社会的企業 |
研究実績の概要 |
日本の中山間地域農業・資源管理の担い手システム再建のための研究として以下を行った。本研究ではJA出資型農業生産法人の意義と限界と成立条件に関する分析を行った。その理由は、比較的圃場条件の良い地域では一定の有効性を持つ集落営農法人が、高知県や大分県日田地域の中山間地域のような急傾斜・狭隘区画圃場の傾斜水田地域においては成立が困難であり、また成立してもその存続が困難であるからである。こうしたなかで、高知県では特に県東部の急峻な中山間地域においてJA出資型農業生産法人を核とした地域農業再建に取り組んでいる。本年度は高知県のこうした広域経営法人の展開動向と成立可能性に関する研究を行った。 まず、高知県庁やJA高知中央会においてJA出資型農業生産法人方式に力を入れる背景を調査した。県庁においては、中山間農業複合経営拠点整備事業の登場の背景と展望について、またJA高知中央会では県内1JA化とJA出資型農業生産法人重点化戦略との関係および同戦略の展望について調査した。現場の調査としては、上記の中山間農業複合経営拠点整備事業の2015年度の核となるJA出資型農業生産法人の「株式会社れいほく未来」(土佐町)とJA出資の第3セクターの「株式会社大豊ゆとりファーム」の2事例を中心に、経営実態と戦略および成立条件について調査を行った。本研究ではこうした事例研究を通して、それらを条件不利な中山間地域における地域維持のための社会的企業として理論的に整理しつつある。同時にその支援方式につての経済学的意義をも検討している。 また、こうした農村社会的企業とそれをとりまく農村地域政策システムのありかたについてイギリスから学びえるものを整理してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国地域において展開した集落営農法人方式がそのまま適用できない高知県中山間地域における広域的対応方式としてのJA出資型農業生産法人の意義と限界について重要な論点が整理できたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、高知県のJA出資型農業生産法人の意義と限界と政策のあり方に関する分析を継続するとともに、こうした旧村レベル以上の広域を担う地域経営法人における規模の不経済をカバーしうる経営革新のあり方を、日本各地の事例研究を通して分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内研究旅費において割高の見積もりをしており残高が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の旅費として使用する。
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