中山間地域における水田営農・資源管理の担い手システムとして、集落営農の意義と限界を明らかにする中で、集落営農と地域重層的な関係で重要となるであろう広域経営法人の存立形態を解明するために2017年度は以下の地域において実態分析を行った。 第1は、高知県における旧村や戦後合併市町村を活動エリアとする中山間地域農業複合経営拠点事業の諸事例の分析である。当該年度は、土佐町のJA出資法人から第3セクターへと展開していく(株)れいほく未来の分析である。地域存立のための多様な公益的機能を果たすことが見込まれるが、経営持続性の確保のためには、経営揺籃期における支援としてJAの委託事業の意義が大きく、また持続性確保のための収益事業部門(赤牛一貫生産)確保のためには公的セクターの億単位の投資が必要であり、そこでは政策的支援の意義が改めて問われることとなった。 第2は、島根県における集落営農方式の意義と限界の分析である。県の事業データを用いた文責がなされ、成立件数鈍化や1部の減少に関しては高齢化に伴う集落機能の低下が要因であることが含意された。また、島根県内における集落営農法人の広域ネットワーク化の意義と限界を分析した。 第3は、上越市清里区における(有)グリーンファーム清里における規模の不経済回避のための拠点集落部での「連携法人」形成とネットワーク化のメリットの追跡分析を行った。 第4は、イギリスの農村地域における社会的企業と政府との連携システムに関しての追跡分析を行った。
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