本研究では、財やサービスの供給が共有地の悲劇に陥りやすい共有資源の維持管理について調査した。近年、調査対象地域においては、伝統的な灌漑システムの維持管理制度に変わり、水利組合長をオークションによって決定するという、新しい共有資源の維持管理制度が急速に普及している。水利組合長には、水利費を自身の所得として獲得するため、灌漑のサービスを供給するというインセンティブが付与されている。本研究では、水利組合長がオークションに参加することの内部収益率を求めた。その結果、内部収益率は41%で村内での平均金利である36%よりも高く、経済合理的な行動であることが明らかになった。
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