インドネシアは経済成長を順調に達成してきたが、所得格差は拡大してきた。なぜ所得格差は拡大してきたか、経済データを分析し、その要因の解明を試みた。 そこで先ず、農業における労働の限界生産力を計測すると、現在のインドネシアではまだ労働過剰経済であることが分かった。この状況では、資本蓄積や技術進歩により労働生産性が上昇すると、労働分配率が低下し、逆に資本分配率が上昇する。その結果、所得格差が拡大することが分かった。農業から労働力が流出し、労働不足経済への転換点を通過すると、労働分配率が上昇し、所得格差が縮小に向かうことが理論的および実証的に確認できた。
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