研究課題/領域番号 |
26450340
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
石黒 覚 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30137244)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遮熱性舗装 / リサイクル材料 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、かき殻破砕材と廃かわら破砕材の2種類を対象として、以下の 1)~ 3)の研究を実施し、論文投稿を行った。1)かき殻破砕材を細骨材としたモルタルの強度特性に及ぼす高炉スラグ微粉末の影響に関する研究・・・製鉄所の鋼材製造工程で発生する高炉スラグ微粉末をセメントの置換材として用いることにより、セメントのみを用いた場合に比べてモルタル強度が増加し、置換率75%で強度発現が最も大きくなることを確認した。また、セメント種類や養生条件の違いがモルタルの強度発現に及ぼす影響を調べ、これらの試験結果をまとめて農業農村工学会論文集に投稿した。2)かき殻細骨材と高炉スラグ微粉末を用いたモルタルの遮熱材料への適用に関する研究・・・かき殻細骨材と高炉スラグ微粉末を用いたモルタルを開粒度アスファルトの上部空隙に充填することにより遮熱性を付与し、夏季の路面温度が密粒度アスファルト舗装に比べて10℃以上低減することを屋外試験により確認した。高炉スラグ微粉末を混入した場合、モルタルの表面色が明るくなることを明度測定により明らかにした。これらの結果をまとめて農業農村工学会論文集に投稿した。3)廃かわら破砕材を用いた舗装路面の夏季の温度低減効果に関する研究・・・廃かわら破砕材などを細骨材としたモルタル(遮熱性あるいは着色性を有するモルタル)を製造し、それを用いた各種の舗装供試体を作製した。室内ランプ照射試験により供試体表面温度を測定し、廃かわら骨材の利用が夏季の路面温度低減に有効であることを確認した。これらの結果をまとめてコンクリート工学年次論文集に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度においては、かき殻破砕材および廃かわら破砕材の2種類のリサイクル材料を用いた。夏季のアスファルト舗装に対する遮熱性材料として利用した場合の有効性を確認することができた。次年度以降においては、これらの材料をポーラスコンクリート舗装へ利用し、景観や遮熱性など環境負荷低減に寄与する舗装へと発展させることが有効であるとの方向性が確認できた。なお、初年度の研究成果は、かき殻破砕材の舗装への利用に関しては、農業農村工学会論文集に2編(共著)投稿した。また、廃かわら破砕材の舗装への利用に関しては、コンクリート工学年次論文集に1編(共著)を投稿した。いずれの論文も掲載が決まっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降は、主に次のような研究を実施する。1)舗装の表面色の違いに着目した遮熱性舗装の研究・・・骨材色や充填モルタル色の異なる材料を用いて舗装供試体を作製し、明度、色彩、分光反射率などを測定し、明度および色の異なる場合の遮熱効果を評価する。特に、リサイクル材料の利用、景観への配慮、夏季路面の遮熱性など、環境負荷低減に寄与する舗装を検討する。2)廃かわら骨材を用いたポーラスコンクリートの舗装への適用に関する研究・・・廃かわら破砕材を細骨材とした場合、モルタルの色彩が比較的鮮やかになり舗装の景観向上にも寄与できること、また、廃かわら破砕材は吸水率が普通骨材に比べて非常に大きい特徴があることから、保水効果も期待できる。そこで、廃かわら破砕材の利用に着目し、これを用いたポーラスコンクリート舗装供試体を作製し、歩道等の舗装に用いた場合の夏季の遮熱効果を室内および屋外試験により調べる。
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