アスファルト舗装は、一般にその色が黒いため、昼間の太陽光線を多く吸収して舗装深部まで高温となる。また、夜間には蓄積された熱が大気中に放出されるため、ヒートアイランド現象の一因ともいわれている。このため、夏季におけるアスファルト舗装の路面温度を低減することができれば、ヒートアイランド現象の緩和に寄与できると考えられる。 本研究では、産業廃棄物を有効利用し、ヒートアイランド現象の緩和に寄与する遮熱性舗装の構築を目的としている。ここでは、産業廃棄物である瓦廃材、陶磁器廃材、ガラス廃材などの破砕・粒度調整したものを有効活用し、これらを細骨材として用いたセメントモルタルを開発し、このセメントモルタルを開粒度アスファルト舗装に充填して遮熱性と景観舗装の機能を付与する。この方法よって、一般のアスファルト舗装(密粒度アスファルト舗装)と比較して、夏季の舗装路面の温度上昇を抑制できることが、これまでの研究で確認できた。 最終年度においては、セメントに代わる結合材として、水ガラスと高炉スラグ微粉末を用いたジオポリマーの利用について検討した。かき殻、瓦廃材、陶磁器廃材、ガラス廃材などの各種リサイクル材を用いたジオポリマーモルタルを作製し、夏季の路面温度上昇に対する抑制効果に着目して各種の実験を行った。室内においてアスファルト供試体のランプ照射試験を行った結果、ジオポリマーモルタルを開粒度アスファルト表面の空隙に充填した場合、充填しないアスファルト供試体に比べて温度上昇量は大きく低下することを確認した。また、リサイクル材の種類によって遮熱効果も異なることがわかった。
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